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「今、オレの目の前に香奈がいて、生きていてくれてる。
それだけで、充分だ…」

ゆっくりとユウの顔が近づいて来て、最初はそっと触れただけ。
すぐにお互いが求め合うキスになる…。



少し息が上がった時、2人は離れた。

「あのね、―――…」

あの日、教団で聞いた全ての事を話し、それを聞いて思い出した記憶についてもすべて話した。

「…なんだ、イノセンスの暴走で家族を殺しただけなのか」

「それでも、止める事は出来たんだろうし…」

「いや、それは難しいんじゃ…?
取り敢えず、お前は普通に教団に戻っても良いと思うぞ。
香奈を蔑む奴がいたら、オレが始末してやる」

「あはは…でも…」

「オレの隣に居たくはないのか?」

「〜〜〜〜!!
(…ものすごい自信。)
…居たい。
一緒に居たいよ!」

「じゃあ、教団に戻ろう」

「………うん!」

今度は私から、ユウに飛び付く。





ユウは直ぐさま帰る気でいたが、お世話になった常連さんが来ていて、もう少し販売を続ける。

「あらまぁ、お店辞めちゃうの?
残念だわぁ〜。
いつも楽しみにしていたのに」

「本当にすみません、突然に…」

次の客は。

「…たまごサンド2つ」

「はい、毎度ありがとうございます!」

お金と交換でサンドを渡した相手は、見たことの無い、若い男性。
駅前だから、別段おかしい事は無いのだが…。

その人を見ていると、何だか変な気分が…?

「すみません、もし違ってたら申し訳ないんですけど…。
私、あなたに会った事ってあります?」

「あぁ。
君についてはよく知ってるよ?」

「…えぇっ!!?」

「どうした!?」

急に大声を出したから、仮眠していたユウが起きて来た。

「香奈!?
急に大声なんて出して…。
…って、お前…」

ユウが急に動きを止めたのは、男の人を見たから。
やっぱり、昔の知り合い?

「へぇ、香奈?
僕の妹の名前だ。
でも、君の名前じゃない」

――はい?

「…お前、隼人兄だろ…。
香奈の兄貴だよな!?」

――え?

「さぁね。
まだ知る必要は無いよ。
とは言っても、香奈の記憶を思い出すんだろうけど。
それじゃあ、バイバイ」

「え、待って!」

軽く手を振って人込みに紛れていってしまう。
それから2人で探しても、どこにも見当たらなかった…。



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あきゅろす。
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