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―――ガキイィィィン…
――キイィィン…
金属音が、耳に鳴り響く。
刀身の細い剣同士がぶつかる間にも、考え続けた。
この争いを止める方法は無いのかと…。
「奈穂お姉様!
ちゃんと集中して戦って!!
反撃してきてよ」
「そんな事言われたって…!!」
「お姉様は人に対して甘すぎよ!
大人しく10年も捕まっていたり…。
さっさと抜け出せば良かったのよ!
自分の人生なんだから…!」
…でも、お兄ちゃんの力には勝てなかったよ…。
確かに、私にはそれをする勇気が無かったのかもしれないけど…。
「!!
ぅあぁっ…!!!」
油断した隙に、右肩の辺りを刺されてしまった。
刺された所から何か毒のような物を感じ、とても熱い…。
「な…何を……?」
「静かにしてて。
少しお話しましょ…?」
香奈がすぐ目の前に立つ。
「ねぇ…何で私みたいに双子の片割れが必ず暴走するのか、知ってる?」
私は横に首を振る。
「ふふふ…そうよね。
分からないわよね。
私は、巨大な力と呼ばれるコレに憑かれて、分かっちゃったかも…」
…憑かれる?
"力"って、一体何なの…?
「全ては、家の繁栄のため…私は利用された!
…片割れがもう片方を吸収して暴走する…。
そして、家全体でその暴走を止める事で、力の低迷を防ぐの。
それが、現代まで伝わらなかった、言い伝えの続き」
…よく、分からない。
「要するに、力の向上を目指す為に双子は生まれる。
殺される事を前提にして。
…それなのに、どうして!!
どうして奈穂お姉様だけ生き残ってるの!?」
「香奈…落ち着いて…。
よくは分からないけど、私達は意味あって生まれてきた。
あなただけが死んでしまった事は抜きにして…」
「…どちらにしても、私は隼人お兄様に殺された。
二条院家でも指折り霊力のあるお兄様に…。
どうして私は生まれてきたんだろ…生まれる意味なんて無かったのに…」
――パシッ…
私が香奈の頬を叩く音が、辺りに鳴り響いた。
「そんな事を言ったら、お父様とお母様が悲しむわ…!
何より、あなたがいて私は嬉しかったもの…!!」
「ありがとう…お姉様は、感情が豊かね。
いつか、仲睦まじい姉妹としてどこか静かなところで暮らしたい…」
「そうよ…一緒に暮らしましょ?
きっと楽しいわ!
あなたがアクマになってしまったのも、ある元帥に頼めばどうにかなるから…」
「でも、もうお別れみたい…」
ハッと気付くと、隼人お兄ちゃんが香奈を刺していた。
香奈の口の端からは血が滲み出てくる。
「…また、私はお兄様に殺されるのね…」
隼人お兄ちゃんが握りしめている武器は、私がさっき落とした対アクマ武器・蒼剣…。
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