6
次の日。
香奈が駄々をこねたせいで、もう一泊する事になった二人。
また市場を見て回った後、香奈は宿の部屋に着くなり寝てしまった。
そして、フッと目を覚まして外を見ると、日没後の暗い闇が広がっていた。
オーナーのおじさんにユウの部屋を教えてもらって行ってみるが、やはりいない。
オーナーの奥さんの情報によると、外出したようだ。
「全く、何やってるのよ〜?
こんなに暗くなったっていうのに。
それにしても…」
宿内をキョロキョロと見渡す。
この町で一番の人気らしい。
「…職権乱用じゃない?
こんなに豪華じゃなくても良かったのに」
エクソシストは宿代がタダになるから。
そのまま、宿のフロアで待っていると、雪まみれのユウが戻って来た。
「もう、何やってたの!?
そんなになって…風邪ひくよ?」
すると、上着のポケットから何かを取り出した。
「……これ…」
「?…何?」
受け取ると、それは手の平大の細長い箱で、蓋を開けると―――
「…これ、買ってきたの?」
「あぁ」
「店、もう閉まってなかった?」
「店主が店じまいしちまってて本気で焦った…。
だから買うまでに時間が掛かっちまった」
「…………」
「?…どうした?」
ユウが訝しげな顔をするが、香奈にいきなり抱き着かれて、ビックリする。
「ありがとう!!
すっごい嬉しい!!」
「…あ、あぁ、どうも」
オーバーリアクションだと思い驚きつつも、平静を取り戻すユウ。
抱き着いて来た香奈の肩を押し、離れさせる。
いつもとは違う雰囲気。
香奈は視線が合うと少し心臓が高鳴る。
「なぁ、オレ達、付き合わないか?」
「え…?…っと…。
お、OK?」
驚きながらも、なんとか返事が出来た。
すると、急にキスをしようとしてきて!
「…ちょっ、待った!」
「…何だよ?」
「風邪が移るから!
まっ、また後で!」
「香奈、風邪引いてたのか!?」
「え?え〜と…
ユウだよ!
鼻声じゃん、休んだ方がいいよ。
んじゃ、オヤスミ!!」
そして、香奈はドタドタと走って行ってしまった。
「…まったくもって元気なんだけど?
鼻声じゃねぇし」
ちっ、とか言いながら、神田は夕食を食べに行った。
一方の香奈は、今度は朝まで寝てしまった。
ぐっすりと眠れずに。
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