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「この家に伝わる伝説を聞いた事はあるか?」
「ある?」
「無いよね」
「双子が生まれると災いが起きると代々伝わっておる。
生まれれば、必ず赤子の時に殺せと。
だが、それは間違いなのだ」
「そうなの」
「それを私達が言い伝えていく事を、私達に頼みたかったの?」
「なるほどぉ。
そっかぁ」
「違う」
「違うって」
「間違えちゃった」
「双子の片割れに大いなる力が宿り、全てを滅ぼすと言われていたのだ」
「………」「………」
自分達も双子なので、思わず黙ってしまう。
「だが本当はどうなのか。
それを知らせに来たのだ。
言い伝えを変えさせる訳じゃない…」
ここで一息つく神様。
姿を見せようとしない。
「大いなる力とは、私の事だ。
そして、双子ばかりを狙う訳じゃない。
…偶然双子が多かっただけで。
同い年の子供がいる時に現れたのだよ…。
私は現れて、霊力の倍増を試みたんだ。
神の意志を伝える重要な役目であるお前等の家系の」
2人の子供は固唾を飲んで聞いていた。
「やがて、私の調教のしがいもあって、霊力の強い者も生まれた。
だが、その一方で強い霊力に呑まれて自我を無くす者も居た…。
その者は抑制が効かなくなり、全てを壊し続けた…。
最後には私の手で殺したが」
奈穂と香奈の背中を悪寒が走る。
「それの対策として、私は同い年の子がいる時を選ぶようになった。
そうすれば、競争力や対抗心で自分を保てるだろうと。
歳や性別、性格、家系…それらの違いのせいだと逃げないように」
「それからは?」
「自我を失う人は減ったの?」
「あぁ、ここ数百年でほとんど居なくなった。
だが…、他の力に目覚める者が増え出した…」
「それは何?」
「今は黙っておく。
知らなくても良いからな」
「じゃあ、調教って何するの?」
「鞭打ったり特別に練習したり?」
「本人に気付かれないように霊力のバランスを整えたりするだけだ」
「隼人お兄様にも調教したの?」
「すごく強いものね」
「いや、していない。
あいつは生れつきだ」
「やっぱり凄いねぇ」
「凄いねぇ」
「それで、だ」
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