5
「もうそろそろで兄様が帰ってくる!」
2人の着ている服を取り替え、香奈が結界の取れた格子をくぐり、再度、結界を張り直す。
「明日ここに来るね!
また遊ぼう?」
「うん、待ってるね!」
それまでお互いの生活について話していたので、(怪しまれないように)片方の生活パタンなどを覚えておく。
「奈穂は、いつも夕食まで家に入らないで遊ぶのね。
…帰ってきた家族に会う事なく…」
香奈は、また手鞠をついていた。
「香奈は、いつも本を読んでいる時にお兄様が帰ってくるのね。
…帰ってきたら直ぐにここに来るの…」
奈穂は、本棚から適当に本を出して読み始めていた。
あとは、同じ顔で似たような性格を持っているので、どうにかなる。
5年間別々に育ったとしても、そこはやはり双子なので似ているのだ。
次の日。
「奈穂ー!」
「香奈!
来たのね!」
「ねぇ、どうだった?
檻の中では」
「うん、快適!
愛情も、いっぱいかけてくれるの!
そっちは、どう?」
「快適だよ!
色んな所に行けるし、いちいち手を出してくる邪魔な人達も居ないし!」
それぞれ替え玉生活を満喫し、暫くそのままでいた。
ある日。
「見ててね、霊力はこうやって…解放するの!」
感覚的に感じる事を、香奈が一生懸命に奈穂にアドバイスしていた。
それが、奈穂には分かりやすかった。
「どうやってこんな風に感覚掴んだの?」
「これは、お母様から。
お母様も昔は下手で、猛特訓したんだって。
奈穂は、お母様似ね!」
「じゃあ香奈はお父様似?」
「…そうでもないんじゃない…?」
「それもそうだね!」
笑い合う2人。
それから数日間の特訓で、奈穂も香奈と同じくらいの霊力を発揮できるようになった。
「奈穂、すごい成長だよ!」
「私に足りなかったのは、親切に教えてくれる人だったみたい…」
「うん、もう大丈夫でしょ?」
「うん!」
奈穂が香奈の霊力に追い付いた…そして、2人は家系の中でも1・2位を争う程の大きな霊力だった事を、2人は知らない。
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