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やがて、地下水路が見えてきた。
既に船は到着している。
それに、室長はサボってなかったらしい、一緒にその場にいたから。
会話中の室長と元帥の後ろに、小さな人影が見えた。
ちらりと姿が見えた…。
が、その瞬間、動くことが出来ず、体が固まってしまった…。
うずくまって、手で耳を塞ぎ、目は見開いているが何も写しておらず、ただただ涙が溢れる。
「香奈!
どうしたの?」
リナリーの呼ぶ声すらも聞こえてこない。
「…ぃゃぁっ…!
イヤアァァァァ…!!」
「香奈ちゃん!?
どうしたの、大丈夫!?」
室長も気付いたらしく、慌ただしく走り寄って来た。
その子の体が血でほぼ真っ赤に染められていたのだ。
彼と重なって思い出されるのは、私の記憶の始まった場所の無惨な光景…。
そして、目の前が真っ暗になっていった―――。
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