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深呼吸、深呼吸…。
心を落ち着かせよう。
初めての仕事…失敗は、許されない。
私が平静を繕っていると、隣で一緒に立っているルル=ベルに声を掛けられた。
「…緊張してるのか?」
「まぁ、少しは…」
「あまり堅くならない方が良いぞ、主人は奈穂を信頼して頼んだんだ」
「まぁ、ジャスデビとかロードはすぐに遊びだしそうだし…。
それに、ティキは目を覚まさないし…」
「ところで、あのどうしようもない自由奔放な奴は、まだ来ないのか…?」
あはは、隼人お兄ちゃんの事か…。
私達が扉をくぐらないのは、その遅刻者のせい。
「私は先に行って、扉の接続先が正しいか確認している」
「場所は第5研究所!
ほとんど科学班の人しかいないけど…変装するのには適さないかな」
専門知識が無いと、すぐに疑われそうだから。
「心配するな。
後で合流しよう」
そう言ってさっさと行ってしまった。
隼人お兄ちゃんはその後しばらくして到着した。
「おはよう、我が愛しき妹…」
眠そうに目を擦りながらゆっくり歩いてきたのだ。
「当初の予定よりもどれくらい遅れているか、分かってる?」
「…?
1・2時間かな…」
「それを普通に言わないの!」
「まぁまぁ、別に良いんじゃない?
ところで、ルル=ベルはまだ来てないの?」
「私よりも早く来て、もう先に行ってますっ!」
「よし、じゃあ僕たちも行こうか」
溜め息をつきながら、お兄ちゃんを追って扉をくぐった。
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