〜hot chocolate〜
5
堂本と相田に守られるように、登校した。二人揃っての登場に二年の下駄箱は、大騒然。
「…あの、もう、大丈夫ですから…」
「何、言ってるの、教室まで送っていくよ。ね、ちーちゃん」
学校までの道中、二人に挟まれていた。今も、がっちり挟まれている。キャアキャアと頬染めている女子達とは、逆に、怯え顔面蒼白な男子達同様、二人に挟まれた自分の顔色もさぞ悪い事だろう。
「……」
否定しないという事は、堂本もついてくるつもりなのだろう。
「…いや、本当にもう大丈夫ですから…」
「本当?…今日、アイツの授業あるの?」
相田が声を潜めて、訊いてきた。
「…ああ、えと…、……あります」
つられて、抑えた声で答えると、黙って聞いていた堂本がギロリとこちらを見た。
「だったら、サボんなよ。危ないよ」
と、相田が囁いた。
「…平気ですよ」
授業中は何もして来ないだろう。大体、危なさで言えば、二人も変わらない。
「そう?じゃあ、ボクら、休み時間は様子見に行くから」
「……」
また、否定しないという事は、堂本もくるつもりなのか。
「…本当に、大丈夫ですって。だから、もう、一人で平気です」
「本当に?本当に平気?」
相田が心配気に言ってきた。
「平気です。ありがとうございましたっ」
二人の間をすり抜け、階段を駆け上がった。背中に、
「気を付けるんだよ!」
相田の声が掛かった。
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