〜hot chocolate〜 18 「あ、あの、祐輔に何かあったんですか?」 「ちーちゃん、ちょっと待って」 と言って、携帯の送話口を塞ぐ。 「やっぱり、ゆっぴょんの知り合い?」 「し、親友です」 「そう」 本当なら、構っている時間も惜しいが、こうして怯えながらも、自分に声を掛けてきた勇気に、心配の度合いが知れる。 「うーん、ちょっとヤバイかも」 「もしかして、オレ、何か失敗しましたか…?」 もし、自分達の予想通りの事が起きようとしていたら…。誰にも、特に親友に知られたくないだろう。 (―――白浜の思惑は阻止してみせる!) その為にも、今は時間が惜しい。 「ううん、やっぱ、大丈夫、何でもないよ。ごめん、急いでるから、行くね」 と言って、電話に戻る。 「ちーちゃん、お待たせ」 『どうした!?』 イライラと焦った声が返って来た。 「あ、ちょっとね。先に、確かめきゃいけないコトがあると思って」 『とりあえず、俺もそっちに行く』 「うん。資料室で見られたって事は、その先にある視聴覚室に連れ込んだんだと思う!」 『…だろうな』 資料室の先で、“内側から”鍵が掛かり、“密室”になり、“防音”になる教室は二つ。放送室と視聴覚室。狭く機材で雑多な放送室と違い、広さがあり整理された視聴覚室は、白浜の“企み”にはお誂え向きだ。 「視聴覚室で待ち合わせよう!」 『ああ』 一刻も早く、視聴覚室へ向かいたかったが、その前に、一縷の望みをかけて、保健室へ確認しに行ったが、花ちゃんに、「今日は貧血では誰も来ていない」と言われた。 (やっぱりいない!) [*前へ][次へ#] [戻る] |