〜hot chocolate〜
17
祐輔と待ち合わせているのに、来ない。
家で待っていたが、何か嫌な予感がして、学校へ来てみた。下駄箱へ行ってみると、靴があった。電話をしてみても出ない。さては、堂本がちょっかいを出しているのか。
そう思い、堂本へ電話をした。
「ちょっと〜、ちーちゃん!今日はボクの日でしょう?」
電話に出た堂本は不機嫌そうに答える。
『“ボクの日”ってなんだ?』
「今日は、やっとボクがゆっぴょんと遊べる日でしょう?どこにやったのさ」
『あぁ?何、言ってやがる。俺はあれから会ってねぇ…お前と一緒なんじゃねぇのか?』
「一緒じゃないから言ってるんじゃない」
『お前から逃げてるだけじゃねぇのか?』
「ゆっぴょんがボクから逃げるわけないじゃん。電話にも出ないし…。ちーちゃんと一緒じゃないなら…。ねぇ、何かイヤな予感がする」
『オイ…もしかして―――』
ただ自分から逃げているだけかも知れない。が、何か妙に気にかかる。何かあったのか。
「…チッ…」
電話口の堂本に聞こえないように、舌打ちする。下駄箱に靴があったというコトはまだ中にいるというコト。
堂本と話しながら、階段を上がる。外に出ようとすれば、カバンを持ち出すだろう。学校を出ようと、取りに来ようとしたところ、そこで待ち構えれば安全を確認出来る。そう考え、祐輔の教室へ向かった。確認してみると、祐輔のカバンはなかった。
(カバンはない…)
ふと、何だか、祐輔と一緒にいるのを見た事がある気がする男子を見付けた。
「ねぇねぇ、江井君、どこか知ってる?」
「は、はい!い、いや、えっと……」
ガチガチに直立し、すっかり怯えているが、構ってられない。
「どこにいるか知ってるの?知らないの?どっち?」
語気が強くなる。顔面蒼白になってしまった目の前の男子が、更に固くなりながらも答える。
「し、資料室の所で、白浜に背負われてて、白浜が『貧血で倒れたから保健室に連れていく途中だ』って言って、すれ違いました…!」
(白浜!)
訊くだけ訊いて、無視して堂本との会話を続ける。
「ちーちゃん!白浜と一緒だって!」
『なに?アイツ、なんかヤバいヤツだぞ』
以前、早朝に、白浜に遭遇した時の事を思い出した。あの時の白浜の目は…。何かに気付いているような目だった……。堂本も白浜へ何か怪しげなモノを感じていたようだ。
「だよね。ボクもそう思ってた。資料室の所で一緒にいるの見たってコがいる」
と、呼び止めた男子が恐怖に引き攣りながらも声を掛けて来た。
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