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セブンス・リート


戸惑うように手がジョイスに伸ばされて、

「ア、アーク?」

ジョイスの手首をガシリと強く握った。そのままジョイスの体を自分の方へ引き寄せる。

「な、ななななにすんだよ! 痛いって!」

わけがわからずアークを見たジョイスは、いつもは穏やかな少年の様子がおかしいことに気がついた。

目の焦点が定まっていない。
おまけに、さして暑くもないこの季節だというのに、額から汗が噴き出ている。熱でもあるのかと疑いたくなるような様子だった。

ジョイスが息をつめて見守る中で、アークが震える唇を無理やりこじあけた。

「おぉふくろぉぉおお――――――っ!!!」
「は?」

アークの口から飛び出したその言葉をジョイスが理解するのに、数秒。

「ああ!『おふくろ』ね。サリアが何か用?」

そう言ったときにはジョイスの体は宙を舞っていた。
今まで話をしていた部屋を出て、猛烈なスピードで階段を駆け下りる。
足元で乱暴に踏まれた床がギイギイと身をよじる音がした。
目の端にアークの青い髪が見えたような気もした。
だが、全てが一瞬のことで思考が追いつかない。


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