セブンス・リート 8 アークとジョイスは血こそ繋がっていないものの、兄弟同然に育ったのだ。ジョイスと出会って15年経った今でも、それは変わらない。 ジョイスは大切な家族の一員だ。 「――修理、店に頼んでやってもいいぜ」 下町には腕の立つ職人が開くフォノ装置の修理屋がある。 この手のミュージコードの修理代は高くつくが、顔なじみのアークが頼めば多少安くなることは間違いなかった。 「ホントか!?」 途端、ジョイスの顔がぱあっと輝いた。 「ただし、頼むだけだからな。修理代は自分で払えよ」 嬉しそうなジョイスの顔を見ているとつい頬が緩みそうになって、アークはわざとらしく咳払いをした。 ジョイスよりも2歳年上であるだけなのに、こういうときには兄貴面をしてしまう自分がいる。 「じゃあ、修理屋にはあとで行くとして――あ」 あ、と言った口のままアークが固まった。 「どうしたんだ? そういえばさっきオレのこと呼んでたよな?」 怪訝な顔をしたジョイスに覗きこまれて、アークの青い瞳が左右に揺れた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |