03
「そういや、俊樹はそっち側だったもんね」
「男子校に行きたがってたしな」
そう。
実は俺の幼なじみの村上俊樹は、同性しか愛せない奴だった。
本人はそれが分かった所で別段落ち込む訳でもなくケロリとしていたから、俊樹にとってはそれほど重大な事でもなかったんだろう。
「まぁ、俊樹は別にいいとして問題は桃汰だな」
「え、俺? なんで?」
壱也の言葉に疑問が浮かぶ。
俺は別に得に問題ないと思うぞ?
狙われるような美少年という容姿はしていないし、本当に平凡な顔だから。
「桃汰、モテるからねー」
「は?」
いやいや何言っちゃってんの武彦くん。
俺、お前らみたいにモテないけど。
「あんだけ騒がれて優しいとか俺らのおこぼれだとか勘違いしてる奴には何言ってもわかんねぇだろ」
「ちょ、なんか零酷くない?」
だってさ、普通に考えて四人の美形に平凡な俺は囲まれてんだよ?
俺が四人以上に目立つ筈がないじゃないか。
「もー!! とーた気をつけろよー!?」
「いやだから何に」
どうしよう。
話が噛み合わない。
大体、そんな心配なんて必要ないと思うが。
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