・嫉妬編4
「…………清って呼ばれるの、嫌だったか?」
「……嫌ではない」
「太田って名前は、他のヤツも呼ぶだろうが。でも、清ってのは俺だけだろ。他のヤツには呼ばせねーし。……きっと、俺の方がよっぽど嫉妬深い」
「……ふ、はははは、本当だ」
「え、そこで笑うかよっ?! 〜〜っっ、くそ、言わなきゃよかった……」
芹沢サンは天井を仰いで、自分の顔をバシバシと叩いた。
「……ありがとう」
「あ?」
「そこまで特別な意味が込められていたのは知らなかった。嬉しいよ」
「う、嬉しい?」
「俺はもっと喜ぶべきだった。……ありがとう」
「き、清……」
うわ、いい雰囲気。これは!
と思った瞬間。
「そこの二人にも心配をかけたな。悪かった」
……そこの二人?
「おわあああッッ?!」
太田先輩の言葉に芹沢サンが絶叫した。
……完全にバレてたみたいですね、俺たち。
ふと横を見ると、今度は小山内先輩がご機嫌斜めでした。
「僕……いつまでオヤマダなんだろ」
芹沢サンに殺されるのは免れたものの、小山内先輩にめっちゃ虐められた俺でした。うわーん!
***
芹沢君が嫉妬するお話が読みたいという声が多かったのですが、実は「隣」の座に執着しているのはタカちゃんの方だったり。
芹沢君は、名前を呼べるだけでそこそこ幸せになれちゃう人なのでした。
ちなみに、芹沢君が瀬名君のフルネームを覚えてる思考回路は、「瀬名……セナ……F1……カケル……速そう……」という単純な連想だったりして(笑)
(2011.9.29拍手)
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