同じ道、同じ言葉 23 「ではでは、我が格ゲー班の成功を祝して、かんっぱーい!!」 俺たちは小山内の部屋で祝杯をあげた。 4人で輪になって座り、中央にはジュースの他に、大人の飲み物やらおつまみやらが置かれている。これらは、小山内の父親からの差し入れだ。 「飲み方の知らん下戸ばっかりになったら、うちの商売あがったりだ。ただ、今のご時世は色々とうるさいから、はしゃぐのは家の中だけにしておけよ」 ……とのことだ。うむ。よい子は決して真似をしてはいけない。 小山内の妹が俺たちの写真を撮ってキャアキャア言っていたが、さすがに中学生と一緒に飲むのは良心がとがめるので、自室に戻ってもらった。 俺は当然ジュースを飲んでいるが、皆慈は泡の出る麦ジュースを美味そうにグビグビやっている……。すでに2缶目だ。見なかったことにしよう。 「太田君さぁ。完成したゲーム、同人誌即売会で売ってみない?」 「ふむ。そういう手もあるのか」 「同人誌即売会って何だ?」 皆慈が首を捻る。俺も2缶目の蓋を開けながら、「んん」と唸った。 「知らないか? 毎年ニュースにもなるくらいなのだが」 「んー、あー……わからん」 「アマチュア作家が自費出版した本を売ったりする集まりだ」 「俺、自作CD売ったコトありますよ。ネットで告知したら人いっぱい来てくれました」 「僕の漫画サークルで委託したんだけど、かなり売れたよね」 「へぇ……小山内君もサークル活動していたのか。どんな漫画を描いているんだ?」 「あはっはははは」 笑ってごまかされた。問いつめるのはやめ、俺はジュースを口にする。美味い。 「もし、売ってみる気があるなら、僕のとこで委託してもいいよ?」 「ROM焼きは俺がやってもいいですし」 瀬名も大賛成する。 「あの手の場所ってスカウト狙いの人も来てるらしいよ。もしかしたら目にとまるかもしれないし、ファンがつけば儲けもんでしょ。売れ残ったとしても、ゲーム会社へ就職活動する時に配れるからね。……って、まだ先の話ではあるんだけどさ」 「でも、俺と皆慈だけで作ったわけじゃない」 「いいんだって、そんなの」 婦警姿のまま胡座をかいている小山内が、空き缶片手にケラケラ笑いながら言った。 [*prev][next#] [戻る] |