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同じ夢 10
 夕飯は餃子だった。

 とても正気とは思えない量の餃子がテーブルに並べられていたが、その半分くらいがみるみる芹沢の胃袋に収まっていった。

 母は相変わらずうっとりとその食べっぷりに見とれていたが、少しその気持ちもわかる。


「あっ、そういえば芹沢君。来週の日曜日夕方からお暇かしら?」

「俺ッスか? 暇ッスけど」

「うちのパパ、タカちゃんとプロレス観に行く予定だったのに、どうしても仕事休めそうにないんだって」

「……ああ、やはり無理だったか」

 父が大ファンの選手の復帰戦があるのだが、不運なことにチケットを購入した直後に父の勤める会社の取引先にトラブルがあって、未だ事後処理中らしい。

「それで、芹沢君にチケットあげたらどうかってパパが」

「リングサイドだからな、バイトが休みなら貰っておくといいぞ」

「うわー、マジか。マジで嬉しいわ」

「芹沢君が一緒なら、帰りが遅くなっても安心だものね」

「そうだな」

「何だ、お前一人で行けないのかよ」

「そういうわけではないが、夜の一人歩きはよく絡まれる」

「あぁ……」

 芹沢は納得顔で頷いた。

「そんじゃ、昼間のうちに服でも見て、軽く飯食ってから会場に入るか」

「タカちゃん、芹沢君とお洋服買うならお出掛けの日にお金渡すわね。ダーリンに服選んでもらえるなんて良かったわね」

「はいはい」

 ここ数日、母のダーリン発言にはすっかり慣れてしまって、適当に流すようになってしまった。

 芹沢のスルースキルも高レベルになり、動揺すらしなくなったのだった。

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