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違うアイツ 18
 清が俺を見つけたのは偶然だと思っていたが、実はそうではなかったらしい。

 修学旅行で泊まっているという旅館に移動しながら、これまでの経緯を教えられた。

 俺が消えてからしばらくは、《シエル》の赤いヤツやらハチコーの《カブキ》のヤツラなんかに頭を下げまくって、俺の目撃情報を探していたらしい。

 どうやら近場にはいないと踏んだ清は、姉貴に頼んで全国に網を広げたそうだ。清の姉貴の人脈って……。

 俺の足取りが西に向かってるのを確認し、最後の目撃情報地点で西野達(話を聞いて、西野達の存在はうすぼんやりと思い出した)が俺を見かけたため、そこに腰を落ち着けたと確信した清は、興信所に調査を依頼して俺の居所を突き止めたらしい。

 そして、そこの所長がろくでもない野郎だと知った清は唐草に相談し、唐草経由で地元の警察に話をつけたのだと言った。

「本当は警察の人達と合流して乗り込むつもりだったが、窓からキミが殴られているのが見えて、慌てて飛び込んだのだ。あと少しでも遅かったらと思うとゾッとする」

 辛そうな表情で見上げられて、ドキリとした。

「……その髪、変わってなくて良かった。もし色が変わっていたら見つけられないかもしれないと不安だったが」

 そう言われて、俺はずっと清に見つけて欲しかったのだと自覚した。

 金もねーくせに、こまめに脱色だけはして。自分がどれだけコイツの存在に依存していたのか思い知らされた気がして、思わず顔を逸らした。

「おま、お前は少し雰囲気変わったんじゃねぇ?」

「……え、そうか?」

「前より姿勢良いし、ちっとは筋肉もついたかな」

「わかるか!?」

 清の表情が喜色で塗り替えられた。

「唐草先生の薦めで剣道部に入部したのだ。まだ試合などに出られる腕前ではないのだが、素振りをしていたおかげで、とうとう腕立て伏せができるようになってな!」

「うおっ、すげぇ進歩……」

 大喜びの清の二の腕を触ると、やっぱり細くてフニフニしていたが。

「もっと強くなって、お前のことも守れるようになるからな。だからもう、お前だけが責任感じたりするなよ?」

 その笑顔が眩しくて。

 俺はただ頷くしかなかった。

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