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違うアイツ 17
 警察を出ると、清から叔父貴と清の両親に電話をするように言われた。

 意を決して電話をかけると、案の定、叔父貴にはメチャクチャ怒鳴られ、清の母親には号泣された。

 慌てて電話を替わってくれた清が、必死に母親をなだめながら俺の頭も撫でた。

 俺の涙腺も壊れたみてーで、言葉が出なくなっちまったから。

「うわっ、僕のいないところでイチャイチャするのやめてよ! もったいない!」

 不意に背後からそんな風に言われて、俺は慌てて清を突き飛ばした。

 顔をぐしぐしと拭いて、ビデオカメラを構えようとしている声の主を睨みつける。

「そんな真っ赤な顔で睨んでも怖くありませんでした、残念。ところで芹沢君、僕のことは思い出した?」

「…………」

「やっぱダメか。冷たいなぁ」

「いや、覚えていると思うがな。学祭に向けて一緒にゲーム作ってただろう」

 清にそう言われると、それはさすがに記憶にあった。

「……オヤマダ」

「え、そっち?!」

「キミの記憶力は相変わらずカオスだな……」

 清が「よく思い出せましたで賞」と言いながら、俺の頭をナデナデした。

「いや、僕の名前、オサナイだからね?」

 とか言う声が横から聞こえた気がしたけど。

「太田君。芹沢君の携帯番号教えてもらった?」

「いや。今、携帯使ってないらしい」

「あ、そうなんだ……」

 小山田が残念そうな顔で俺を見た。

 さっきの電話は清から借りた。そういやこいつ、前は携帯電話を持ってなかった気がする。

「太田君、アドレス帳の一番最初は芹沢君にするんだって、名前だけもう登録してあるんだよ」

 小山田がそう言うと、泡食った清の顔がみるみる真っ赤になった。

「ゆ、ゆーなよ! 願掛けだ、願掛けっ」

 うわ……。なんだろ。すげー嬉しい。

 名前だけでも、清の傍にずっと居られたコトが。

「……地元戻ったらまたケータイ買う! そしたら、お前に一番に教えるから!」

 感極まって抱きついた俺に、清はちょっと照れくさそうに頷いた。

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