創作な文章
3
「どうして、急に行っちゃったりするの・・・寂しいじゃない。」
今にも泣きそうなお隣さん・・・なんでここで泣くの・・・?
俺、ずっと『旅に出たい』的なことを常々言ってたじゃないですか。
返答に困った俺が『あー』とか『うー』とか意味不明に唸ってると、
伯母・・・お姉さんが横でニヤニヤニタニタニマニマしているのが目に入った。
あー、男だったら絶対顔に一発入れてるくらいのこのムカつく顔!
でも、泣いてる子の前でムカついてるの出すわけにいかないし・・・。
俺は無言で頑張って不快感を目だけで訴えていると、お隣さんが急に明るい声で話しかけてきた。
「あ、せっかく出発するのに泣いてちゃダメだよね! そうだ、お弁当作ったんだ、持って来るね!」
涙目で一生懸命笑顔を作りながら、涙声で頑張って明るい声を出しながらそう言って、お隣さんは広場から家の方へ行ってしまった。
あの子が無理をしているのはわかる。うん、それだけはわかるんだが・・・。
・・・俺にはなんであの子が泣いてたのかわからない。
「いじらしいわねぇ。出発するときキスのひとつでもしてあげたら〜?」
先ほどのニヤニヤ顔のまま伯母はとんでもないことを言い出す。
この人は知らないのか、それともわざとなのか!?
「な、何言ってんだよ・・・! そんな恥ずかしいことできるわけ・・・!」
「あらあら、照れてるのかしら〜?」
完全にバカにした口調で俺をからかってくる若作り全開の伯母に俺は恥ずかしさと戦いながら言い返す。
「だ、だって、キスしたら赤ん坊できるんだろ。そんな彼女でもない人に、き、キスとかできるわけないじゃん・・・!」
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