小説
9
美しい足って…自分で言うか?
てか、でかい身体って、お前の方が明らかにでかいじゃんか!
……ん?
もしかして、犬のときの話?
「…いつ踏んだっけ」
「覚えてねぇとは言わせねぇぞ。今朝、お前の家の前でだ」
今朝、家の前…?
それってちびに会ったときのことだよな。
あのとき誰かの足なんか踏んだっけ?
………あ!
「そういえば、ミケの足踏んじまったの謝ってねぇ!」
「そうだ。謝ってもらってねぇ。だから今謝れ」
「はぁ?ここにミケいないじゃん!」
「いるだろう、ここに」
「いねぇだろ!どこにも!」
大体、あの可愛らしい女の子が、こんな薄汚れた場所なんかに来るはずもない。
「お前の目は節穴か?」
少し苛立った様子でそう言った目の前の男は、おもむろに履いていた靴を脱ぎだした。
履いていた…というか、かかとを踏んでいた靴だ。
どうやらこいつの足の大きさに合っていないらしい。
よく見てみれば、着ている服もなんだか窮屈そうだ。
けっ、カッコわりぃ。
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