小説
7
「はぁー…」
さっきから、ため息しか出て来ない。
結局あの後俺は散歩を断念し、不思議がるご主人を引き連れて俺の家(犬小屋)へと戻った。
ミケも自分の家へと戻り、俺はしばらくふて寝。
目が覚めてみると、なぜかまた人間の姿になっていた。
(本当ならちびのとこに乗り込んで行くんだけど…)
今はそんな気分じゃない。
とりあえずこっそりご主人の家に侵入して服を拝借し、再び俺の家(犬小屋)に引きこもる。
「はぁ…」
まさか、祝福されてしまうとは…
いくらポジティブな俺とはいえ、今回は少しショックだ。
もう一回ふて寝しようかなと考えていると、突然目の前に大きな影が射した。
「おい」
「んん?」
顔を上げてみると、そこにいたのは背が高くてゴツイ男。
ゴツイと言ってもご主人や征幸に比べたらってことで、正確に言えば、男らしくて逞しい人間。
しかもなんだか男前。
「誰だよあんた」
「ちょっとついて来い」
「は?」
唐突な申し入れに訝しげな顔をすると、男は強引に腕を掴み、そのまま俺は外へと連れ出された。
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