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小説







「はぁー…」



さっきから、ため息しか出て来ない。
結局あの後俺は散歩を断念し、不思議がるご主人を引き連れて俺の家(犬小屋)へと戻った。
ミケも自分の家へと戻り、俺はしばらくふて寝。
目が覚めてみると、なぜかまた人間の姿になっていた。



(本当ならちびのとこに乗り込んで行くんだけど…)



今はそんな気分じゃない。
とりあえずこっそりご主人の家に侵入して服を拝借し、再び俺の家(犬小屋)に引きこもる。



「はぁ…」



まさか、祝福されてしまうとは…
いくらポジティブな俺とはいえ、今回は少しショックだ。
もう一回ふて寝しようかなと考えていると、突然目の前に大きな影が射した。



「おい」

「んん?」



顔を上げてみると、そこにいたのは背が高くてゴツイ男。
ゴツイと言ってもご主人や征幸に比べたらってことで、正確に言えば、男らしくて逞しい人間。
しかもなんだか男前。



「誰だよあんた」

「ちょっとついて来い」

「は?」



唐突な申し入れに訝しげな顔をすると、男は強引に腕を掴み、そのまま俺は外へと連れ出された。





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