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小説




「わん!わんわん!」
(散歩!散歩に行きたい!)

「ん?お腹すいたの?」



ち、違う!



「わんわん!」
(今から散歩!)

「ああ、ミケが来てくれて嬉しいんだね」



それもちょっとはあるけど、やっぱり違う!



「うーっ」
(散歩だよー!)



俺は繋がれている鎖を銜えて唸ってみせる。
ちょっと鉄臭いけど我慢だ。



「ウウーッ!」
(さ・ん・ぽだってば!)

「あ、もしかして散歩に行きたいの?」



伝わった!
異種間の交流というものは、なかなか大変だ。



「最近ビッグは朝からの散歩が好きだね。あ、もしかしてちびがいるからかな?」



なんだ、それは分かってくれてんのか。
取ってきたリードを首輪に繋ぐご主人を見つめてちょっとだけ感心しながらも、俺はワクワクした気持ちを抑えきれないでいた。



「よし、じゃあ行こっか」



ご主人から声がかかった瞬間、物凄いスピードで駆け出す。
慌ててついてくるご主人とミケを尻目に、俺は勢い良く家の前の道路へと飛び出した。





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