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RE:START(男主)
予想外の出来事


「取り敢えず、そのイーブイは俺が捕まえたんだ。返せ!」


「ブイ!」


「イーブイ、いやって、言ってる」


「知るか! そいつはメスでしかも色違いなんだ。持って帰れば俺は昇進できる!!」


「ポケモン、道具、じゃない」


「ポケモンは、都合の良い道具だ!!」


 そう言いながら、男はモンスターボールからポケモンを出す。黄色と紫色の肌。蛇のように細長い体。確かへびポケモンのアーボだ。……相手が蛇なら、こっちは。


「ワニノコ、よろしく」


「ワニワ!」


 任せろでもいうように、ポンと自分の胸を叩くワニノコ。うん。頼もしいが、俺には腹を叩いているようにしか見えない。


「アーボ! まきつくだ」


「かわして、かみつく」


「ワニー」


「アーボ!」


 がっぷりとワニノコに噛みつかれたアーボは、悲鳴らしき声を上げる。痛かろう。あの痛さは、俺も体感済みだ。


「ワニノコ、離して、みずでっぽう」


「ワニー!」


 零至近からのみずでっぽうは良く効いたらしい。吹っ飛んだアーボは、後ろにいた男も巻き込んで目を回していた。


 さて行こうかと思った瞬間、背後に気配を感じた。スッと目だけで後ろを見ると、さっきの男と同じ服を着た男が、ナイフを持ってこっちに突っ込んできている。


 相手は素人だ。これなら簡単に避けられる。そう思っていた俺は、次の瞬間起きた予想外の出来事に目を丸くする事になった。


「ブイ!」


「お前!!」


 腕の中にいたイーブイが、いきなり飛び出したのだ。しかも、後ろの奴が迫ってきている方向に。


 近くまで迫っていた刃を空中のイーブイが避けられるわけがない。俺は、慌ててイーブイと刃の間に割って入った。


 ドスリと腕に冷たい刃が刺さる感触を感じながら、俺は体を捻ると、右足を軸に左足で後ろにいた人物に回し蹴りを食らわす。良い感じに足が食い込んだらしく、吹っ飛んだ奴は目を回していた。


「ワ、ワニー!」


「大丈夫。急所、外してる」


「ワニワニワ!」


 それでも血が出てると、心配そうに俺に駆け寄って来るワニノコをナイフが刺さってない方の手で撫でた。


 痛くない場所に刺さるようにしたが、結構深くまで食い込んでいる。毒は塗ってないようだし、抜くのは、処置が出来る場所の方が良いだろう。


「行くぞ、ワニノコ」


「ワニ」


「ブ、ブイ!」


 イーブイを傷付けた奴はいなくなったみたいだし、イーブイ自身も自分を嫌がっている。なら、無理にヨシノシティに連れて行かなくて良いだろう。


 そう結論づけた俺は、簡単な止血を行い、ワニノコと共にポケモンじいさんの元へと行こうとした瞬間、掛かる声。


「別に、これは、お前の、せい、じゃない」


「ブ、ブイブイ」


「気に、するな。すぐに、治る。お前も、速く、此処を、離れろ」


「ブイブー!」


「……」


 嫌って言われても困るのだが。とうしようかどうか思っていると、ワニノコがとんでもない事を言ってきた。


 


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