RE:START(男主)
変態と拉致@
――ハナダシティ。海に面した場所にあるそこは、常に海風の香りがする清々しい街だ。街の外れにある岬がデートスポットなっており、様々なカップルがそこを訪れ、愛を語る場所としても有名だ。
そんな場所に、コウは来ていた。理由は勿論の事、ウツギ博士のおつかいだ。
「ありがとう。それじゃ、頼むよ」
「はい」
研究員から荷物を預かり、背負ってきたリュックにしまう。これで今日のおつかいの目的は達成した。
「今日は、ポケモン、センターに、泊まって、こうかな」
昼過ぎに出てきたせいか、ハナダシティに着いた時点でもう夕方に近かった。ウツギ博士からも無理せずに泊まってきて良いと言われているので、今日は泊まっていこう。
「ダイルと、ルイは、どこに、いるかな」
来て早々、ハナダシティを探検すると言って別れたのだ。多分、そこら辺にいるだろう。
「ダイル〜。ルイ〜」
きょろきょろと辺りを見回していたコウは、少し遠いところに青と黄色の姿が見えた。どうやら、街外れにある洞窟の方にいるようだ。
「あ、入っちゃった」
呼び止めようと思ったコウだが、その前に2人は洞窟へと入ってしまった。別に良いのだが、心配が無いわけではない。
「用事、終わった、し、追いかけ、ようかな」
本当は速めにポケモンセンターに行って泊まる場所を確保したいのだが、それよりもダイル達を追う方がコウの中で勝っていた。まぁ、泊まれなかったら野宿でもすれば良い。
そんな事を思いながら、街と洞窟の間に流れていた川を飛び越えた。川の幅は大体6メートル近くあり、普通の人なら飛び越えるのは愚か、半分も飛ばないで水に落ちるであろう場所だ。
だが、コウにとってみれば、これ位どうって事ない。軽い足取りで対岸の地を踏んだコウは、その足で洞窟の中へと入ろうとした……が。
「ちょっと待てコウ!」
「ん?」
入る直前、モンスターボールから飛び出したクリムに止められてしまった。若干慌てているように見えるのは、気のせいではないだろう。
「どう、したの?」
「コウ。お前は此処に入るな」
「なんで?」
「入るなったら、入るな」
「でも、ダイル、と、ルイが」
「俺が行って連れてくる。だから、お前は入るな。ここで待ってろ。いいな、ぜっったいに、入ってくるなよ!」
「……」
たく、あいつらなんでこの洞窟に入ったんだよ。そんな事をぶつくさと言いながら、洞窟へ入っていくクリムに、コウは首を傾げる。なんで、自分は入ってはいけないのだろうか?
「後で、聞けば、いいか」
取り敢えず、3人が出てくるを待とう。そう思ってコウは入口の横に座り込んだのであった。
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