アルカンジュの憧れ アレグラの街 ファミールが歩いて数分経つと、賑やかな笑い声が聞こえてきた。 右に左に店を開いている人、子供をつれて買い物に来ている人…… (狭苦しい王宮とは違ってなんて自由な生活……私もこの生活をしてみたいです…) ふと、二人の男がひそひそと話しているのを見つけた。 「(レドンゼット国だけどよぅ、あと数時間で闇の魔物が滅ぼしにやってくるらしいぜぇ)」 「(本当か!?)」 「(声低くしろ!…ああ、この耳で聞いたんでぇ。俺がチーズを王宮に届けた時だ。……何でも、アルカディア様がファミール王女に会いにここまではるばる来たが、ファミール王女はいなかったかららしいぜぇ)」 「(うへぇ…俺荷造りしねぇとな…)」 「(アルカディア様はお怒りだ。自分の命を投げ出してでも滅ぼしたいらしい……)」 ファミールはそれを聞いて絶句した。 あの優しかったアルカディア様が命を投げ出して、レドンゼット国を滅ぼす? いいや、 レドンゼットの滅ぶ原因は私にあるの…? ファミールはピンクのドレスの裾を握った。 「……この国を、滅ぼしてたまるか」 ファミールは誰も見ていないか確認し、路地裏で服を着替え始めた。 胸の上から包帯を巻き、激しい動きをしても邪魔にならないようにした。 元々暑い地域なので寒くはない。 下は破れているショーパン。 頭にベージュのカウボーイハットを被り、ちょっとカウボーイっぽい服装だ。 「っ、よし!」 私は武器を買いに行った。 (私は、戦ってこの国を守るのです…!) [←] [戻る] |