アルカンジュの憧れ 気まぐれ王女様 「行きたいのです!!」 とある国の王宮で一人の少女が喚いていた。 その少女の名はファミール=レドンゼット。 この国、レドンゼット国の王女だ。 この王女はたいへん気まぐれな性格で、ある日はチェスがしたいと言い出し、ある日は狩りがしたいと父親にすがる。 今日だって気まぐれ王女は気まぐれ王女。 隣国の王子が来るという時に旅に出たいと言い出した。 「しかし、ファミール様…もうすぐアルカディア様がおいでになられます……」 「嫌です!今日は旅に出たいと言っておるのです!」 (だって、この国は…レドンゼット国はもうすぐ滅びるから……) ファミールは不思議な事に未来を見ることができる。 何故なのかは分からないが、たまに未来の夢を見るのだ。 未来予知の夢は本能的に分かる。 雰囲気が独特だ。 「とにかく!私は旅に出ます!」 そう言ったファミールはピンクと黒の日傘をさし、魔導師の作った黒いバック(通称四次元バック)を持ち、王宮から出ていった。 玄関ホールに取り残された背の低い大臣はあたふたとファミールを呼んでいるが、ファミールは無視し、レドンゼット国で最も栄える街、アレグラに向かって歩きだした。 この時、ファミールは知らなかった。 自分が王宮を出たからレドンゼットは滅びたことを。 [→] [戻る] |