[携帯モード] [URL送信]

小説
人形になりたい。
惨めなことに、あたしは夢をみていた。

あたしはパパにもママにも愛されているのだと。


パパとママが愛し合って創られた命なんだと。




あたしが悪かったのかな。

昔から悪い子だったから。


血液さえ繋がっていれば、無条件で愛してくれると思ってた。

自分の勘違いに、恥ずかしくなった。



愛されたくて必死なあたしを、誰も、みないでー。








目を覚ますと、あたしは温かいモーフの中にいた。


見渡すと、そこはアトリエみたいな小屋で、アキの家みたいな雰囲気がした。





、怖くなった。



優しくしないで。
信じたくなる。




「アキ、あたしをひとりにして欲しいの。」


コーヒーを二人分運んできたアキにそう言った。



アキは、何も言わなかった。


「怖いの。離れていくなら近づかないで。」


あたしは立ち竦むアキを無視して逃げるように、あてもなく飛び出した。





あたしは、どこに居たらいい?


誰を信じたらいい?



これ以上傷つくのなら、幸せになんてならなくていい。



独りでいい。


独りがいい。




あたしは繰り返し自分に言い聞かせた。


自分の想いなんて無くなればいい。




人形になりたい。




[*前へ]

第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!