■耳から始まる恋もある! 7 次の日の放課後、放送を使って呼びだした。 親衛隊が動くだろうことは予測できたが、俺のものになれば、そんなもの関係のない話だ。 那須が泣きそうな顔でやってきたのは生徒会室。 今は俺以外いない。 当然、追い払ったに決まっている。 「よう、昨日ぶりだな。」 「は、…はい。な、何の、御用…ですか?」 ぐっと拳を握って、何かに耐えるように、ブルブルと震える那須。 「いや、たいした話じゃないんだけどな…」 そう言いながら、ソファーを勧めて、座らせる。 ありがと、ございますと小さな声で言いながら、端っこにちょこんと座る那須。 ああ、そのありがとうの言い方好きだわ…俺。 つーか、なにその緊張具合。 堪んねぇ…、可愛い。 そんな事を考えつつも、もっと困った顔が見たくて、わざとそのすぐ隣に座った。 ちょっと動けば肩が触れそうな位置。 案の定、非常に困った顔をするから、どうした?と問うと、ビクリと身体が震えて、何でもないです…と大人しくなった。 こんな反応するから、俺みたいなのに、目、つけられるんだ。 「なぁ、」 そう思いながら、耳元に声が届くように体勢を変える。 今までの経験上、耳の近くで喋った方が堕としやすい、ということが分かっている俺は、完全にワザとだ。 意識的に落とした低音で、囁くように話しかけると、ぁ、と小さく声が漏れた。 良い反応。 その声が恥ずかしかったのか、那須は真っ赤な顔をして、唇を噛みしめた。 「何、顔真っ赤にしてんの?」 理由なんて分かっているのに苛めたくなるんだよな…。 悪いことを考えニヤッとしながら、真っ赤になった耳を撫でる。 「っ!…あ、ご、ごめんなさい。」 ワタワタと距離を取ろうとするが、そこはソファーの端。 肘掛けに邪魔をされ、すぐに行き詰る。 泣きそうに顰められた顔。 それなのに、一層上気した顔をまで見せられて、俺は無性に堪らなくなった。 自分を落ちつけようとしているのか、腿の上に置かれた手がもう一方の手でせわしなく擦られている。 とそのとき、俺はある部分の膨らみに気付いた。 さりげなく腿の上の手で隠しているものの、気付いてしまえばモロばれ。 なんだ、感じてたのか…。 耳しか触ってないのに勃つなんて、よっぽど自分が好きなのだと、悦を感じながら、ニヤリと笑う。 その内心を、おくびにも出さず、俺は腰を浮かせて、立ち上がった。 それを少し首を傾げて見る那須に笑いながら、那須の反対側へと移動する。 そして思いっきり押し倒した。 倒れ込んだ那須の上に、俺がのしかかる形。 ボフンッと音がして、ソファーが大きく沈む。 高いソファーだ、フカフカだろう。 二人分の体重で、余りに沈んだソファーにそんな事を思いながら、驚きで固まっている那須の両手を頭の上で一纏め。 許容範囲を超えて、テンパっているのか、呆気にとられたような顔のまま、反応がない。 なのでシュルっと那須のネクタイを外し、拘束してみた。 するとハッと気付いた様に、慌てて手を捻るが、もう遅い。 ククッと笑うと、那須はようやく俺と目線を合わせた。 途端にまた真っ赤になって、視線を逸らす那須。 顔見ると駄目とか、どれだけ初なんだ。 だから余計意地の悪いことを言いたくなる。 好きな子に意地悪するなんて幼稚園児か、とかいう批判のある奴は、一回コイツを見ればいい。 [*前へ][次へ#] [戻る] |