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■耳から始まる恋もある!
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「やっちまったよー…」

もりもりとパンを頬張る少年の前で、机に突っ伏して頭を抱える俺。

名前を那須 友則 (ナス トモノリ)。

現在、全寮制男子高校に在籍中の二年生だ。

その前でパンを頬張っているのが、梨本 清 (ナシモト キヨ)。

俺の友達、兼、クラスメイト、兼、ルームメイト。


「…そのパン食べないの?」

「…うん、分かってたけどさ…。せめて、聞いて?お願い…。」

項垂れつつも、そう突っ込むと、渋々と言った風に口を開いてくれた。

「…、…、…ドウシタノ?」

「…、…あー…その棒読み具合…。ヘコむ…。……、いや、いい!気にするな俺!!」

「…そのパン「待って待って、キョー、話す!話すから!!」…、貰う。」

俺の昼飯をすんなりとかっぱらい、もりもりと、また頬張りだした。

何て見た目とのギャップが激しい奴だ。


女子も真っ青な程の可愛さに、美人まで加えたような容姿。

少し運動神経は鈍いが、頭はよく、ノーマルな俺ですらにっこりと笑われたら、付き合って下さいと手を伸ばし頭を下げて告白してしまいそうなレベル。

しかしながら、喋ると台無し。

…いや、台無しって言う程酷くも無いが、やっぱり男だなぁと思ってしまう。

俺的には、そっちの方が接しやすくて助かってるんだけど…。

何の話かって?キョーもとい、梨本の話だ。


「で?何、うじうじしてんの、ヨイチは。」

あ、ヨイチってのが俺ね。

名前が那須とくれば、あだ名は決まったようなものだ。

教科書にも載っちゃう弓矢の得意な武士を思い浮かべてくれるとありがたい。


「…会長と、会っちゃったんだ…。」

「…へぇ、よかったじゃん。」

お腹が膨れたせいなのか、キョーはきちんと話を聞いてくれるようだ。

俺の座ってる机の前の席で横向きに座ってパンを食べていたのに、今は完全に身体がこちらを向いている。

先程会話に上がった会長というのは、この学校の生徒会長。

速水 旭 (ハヤミ アサヒ)という名前で、顔よし、頭よし、運動神経よしというパーフェクトボーイ。

まぁ、簡単にいうなら男の敵だ。

だがしかし、俺はその厄介な男に、一目惚れというまたまた厄介なことをしてしまっているのだ。


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あきゅろす。
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