[携帯モード] [URL送信]

石楠花物語小学校時代
仲直り

小口家
   千里、泣きながら帰宅。

珠子「せんちゃん?帰ったの?」

 
   (台所)

珠子「せんちゃん?あらまぁ。」
千里「ママ…」
珠子「せんちゃんどうしたの?又泣かされたの?」
千里「眞澄ちゃんが…眞澄が…」

   しゃくりあげながら話している。


   (話を聞いた珠子)

珠子「なんだ、そういうこと…」  

   千里を抱き寄せる。

珠子「男の子なんですから、そんなことで泣いててどうするの?そんなの小学校や中学校いってればあることよ。もっと強くおなりなさい。」
千里「だって…だって…ママがせっかく作ってくれた美代ちゃん弁当…。」
珠子「又いつでも作れるんですから、又作ってあげるわ。で?眞澄ちゃんがくれたお弁当は、全部きちんと食べたの?」

   千里、黙って頷く。


永田家
   眞澄と母

母「眞澄、どうしてそんなことを…あなたがお友達を泣かすような子だったなんてお母さん知りませんでした。」
眞澄「だって…」
母「だってはありません!!眞澄、いくら千里君にやきもちやいたからって、それはしてはいけないわよ。」
眞澄「千里君が悪いのよ!!千里君は眞澄の旦那さんになるの!!それなのに、私の前で嬉しそうに美代ちゃんの話なんてしちゃってさ…」
母「千里君だって…そんなやきもちやきで、意地悪でわがままな子をお嫁になんて貰ってはくれませんよ。」
眞澄「お母さんまで、チーちゃんの肩を持つの?」
母「今回は仕方がないわね?眞澄の味方はできないわよ?お母さんだってあなたにはいい子に育ってほしいし、悪いことは悪い、良いことは良いって分かっています。」
眞澄「バカ…」
母「さぁ眞澄、今から千里君のお家へ行きますよ。」
眞澄「何しに?」
母「何しにって…勿論千里君に謝りに行くに決まっているでしょう。」
眞澄「えぇーっ…だって眞澄は悪くないもんっ…」
母「眞澄っ!!」

   強引に手を引いて連れ出す。

眞澄「嫌だつ!!嫌、嫌だってばぁ、お母さん!!眞澄、謝る必要なんてないもん!!悪くなんてないもん!!」
母「早く、ほれっ。行くんですっ!!」

    駄々をこねて踏ん張る眞澄を強引に引っ張って家を出ていって鍵を買う。


小口家・台所
   千里、やっと泣き止み出す。そこへ、ベル。

千里「あ、誰か来たよママ。」
珠子「誰かしら?ちょっと、いいわ。ママが出てくるわね。」

   玄関にかけていく。 

珠子「はいぃっ、どーぉぞぉ?」

   眞澄、母

珠子「あら、眞澄ちゃんに永田さんの奥様。今晩は。」
母「眞澄から聞きました、家の子がお宅の千里君のお弁当をとってしまって千里君を泣かしたって…本当に申し訳ございませんでした。」
珠子「いえいえ、大丈夫ですよ。又いつでも作れるんですから…家の子ね、男の子のくせに本当に泣き虫で困るわ。」

   千里、壁の影から様子を伺う。

珠子「せんちゃん、眞澄ちゃんが来たわよ、おいでなさい。」
千里「…。」
珠子「ほらっ。」
母「眞澄、ほらあなたも、」

   千里、恐る恐るやって来る。

母「早く千里君に謝りなさい。」
眞澄「嫌だつ!!」
母「眞澄っ!!」
眞澄「だって私は悪くないもん。」
珠子「いいですよ、眞澄ちゃん…」
母「そんなわけには行きません!!悪いことをしたのは家の子なんですから!!こらっ、眞澄!!」
千里「眞澄…」
眞澄「ふんっ、千里君が悪いのよ…」

   母、頭を下げさせる。

眞澄「全く、分かったわよ!!謝りゃいいんでしょ、謝りゃ!!…ごめんなさい…」
千里「もういいよ、」

   にっこり

千里「僕もう怒ってない…さ、せっかく来たんだ、遊んでけよ。」
眞澄「千里君…うんっ。」

   二人、部屋の奥へと入っていく。

眞澄「お邪魔しまぁーす!!」
珠子「はーい、どうぞ。」 

   珠子、母、微笑む。

珠子「さぁ、奥様もどうぞ、お茶でも一杯…」
母「いいのですか?それでは遠慮なく…」


同・千里の部屋
   二人で電子ピアノを弾いている。

眞澄「ねぇ、チーちゃん…」 

   恥ずかしそうにもじもじと

眞澄「さっきは…ごめんね。」
千里「だからもういいんだって!」
眞澄「眞澄の事…もう嫌いになった?」
千里「まさか、」

   微笑む。

千里「嫌いじゃないよ。」
眞澄「よかった。」

   にっこり

眞澄「チーちゃんって、ピアノとっても上手いね。」
千里「いや…」

   二人、再びピアノをひきだす。

   台所でお茶をする珠子、母はにっこり。

 
同・台所
   大晦日。家族全員。

小口「さぁ千里、今年はいいもの買ってきたぞ。」
千里「何?」
小口「諏訪のな、丸上に数量限定で売っていたんだけどね…お前の大好物だよ。」
千里「僕の大好物…何だろ。」

   ワクワクと袋を開ける。

千里「わぁ!!」
小口「いいだろ?マグロのオードブルセットと、刺身と魚介のフライセットだよ。お前はマグロと魚介が大好きなんだよな。」
千里「うんっ!!ありがとうパパ!!」

   席につく。

珠子「それでは準備もできたわ。お年取りの席を始めましょうか。あなた、」
小口「あぁ。それでは…今年一年も家族みんな無事に過ごせた。来年も又健康でやろう。乾杯!!」
小口家全員「乾杯!!」

   みんな、食べ始める。

千里「んーっ、おいしいっ!!」
夕子「なぁ、ところで千里や、」
千里「んー?」

   食べながら

夕子「千里っ!!」
千里「はいぃっ!!!」
夕子「人の話を聞くときはちゃんと箸を置いて目を見るもんだよ。」
千里「はい…」

   手を止める。

千里「何?」
夕子「来年はいよいよお前も中学生だね。」
千里「う、うん…」
夕子「もうすぐ中学校説明会もあるんだろ?中学校の先生たちの恥にならないようにしっかりするんだよ。」
千里「でもおばさん…」
夕子「まだ先だが、今からしっかりいっておかなくては、お前は普通の子よりも出来が悪いからねぇ」

   千里、むくれる。 

夕子「いいかい?もう一回言うが、説明会が始まる前には必ずトイレは行くんだよ?」
千里「うるさいなぁ、今は楽しい大晦日なんだよ。頼むからそんなお説教はやめてくれよ。」
洲子「そうですよ、姉さん。」
珠子「夕子、今日はせんちゃんも楽しい気分で過ごしたいのよ。」
夕子「分かったよ、もう言いません。千里、ジュースいるかい?」
千里「うんっ!!欲しい!!僕レモン!!」

   夕子、レモンのジュースを千里につぐ。小口、笑う。

小口「ハハハ!!又寝小便するぞ」
千里「もぉ、パパまで僕を笑う。僕はもうおねしょなんてしないもんっ!!ちゃんと起きれるもん!!」
珠子「あら?でも一人でトイレ入るの怖くてママをいつも起こす人誰でしたっけ?」
千里「んもぉーっ!!」

   頼子笑う。

頼子「千兄ちゃん、まだおねしょするの?」
千里「しーまーせーんっ!!」

   つんっとして食べ出す。


原小学校・図書室
   冬休み中の書庫整理をする麻衣、健司

健司「てかさ、どいで俺、こんなこんやらなくちゃいけないんだ?」
麻衣「仕方ないに、図書委員の子達がみんな風邪で手伝い当番に出てこれないと言うんですもの。」
健司「どーだか…」 

   いい加減にはたきをかけながら

健司「どーせ仮病かなんかじゃね?だって全員なんてほんなおかしな話があるか!!」

   鼻をならす。そこへ柳沢先生

柳沢先生「頑張ってる?」 
麻衣「あ、柳沢先生。」
柳沢先生「ありがとう、ごめんね、折角のお休みに。」
麻衣「いえ、」

   健司、不貞腐れている。

柳沢先生「おやおや、君は児童会長さんでしょ。そんな顔してぇ。いいわ、特別。」

   微笑む。

柳沢先生「本当は図書委員会の6年生だけなんですけど、あなたにも、御褒美に本をあげるわね。」
健司「え?」

   手を止める。

健司「ふんとぉーですか?」
柳沢先生「全く…いいわよ、何でも言いなさい。卒業式の日にあげるわね。」
健司「やったぁーー、ならね?なら俺はねぇ?」

   一生懸命掃除をしだす。麻衣、柳沢先生、くくっとわらう。

麻衣「全く…あきれたやつ。」
柳沢先生「児童会長なのにねぇ…困った子。」


上川城南小学校・教室
   冬休み明け。千里、とぼとぼと元気なさそうに登校。

後藤「よ、千里おはよう。」
小平「おはよう…」

   浮かない顔を見る。

小平「どうした?又具合悪いか?」
後藤「それとも今日?」

   考える

後藤「お前の嫌な授業とかあったっけ?」

   千里、机に座りながら今にも泣きそうな表情で俯く。

眞澄「あれあれ、チーちゃんどーしたのよ?」

   小平、後藤を見る。

眞澄「何かあった?」

   二人、首を振る。

小平「いや、分からない…」
後藤「こいつ、来たときからずっとこうなんだもん。」

   マコ、別席に座りながら下を向いてふふっと微笑む。

 
原小学校・体育館卒業式の練習が行われている。

   健司が証書をもらって帰ってくる。

健司「ったく、どいでこんな練習なんてしなくちゃいけねぇーんだよ?」
麻衣「黙ってやりなさいよ!!」
茶目子「そうよ、ちゃんと卒業式の日に恥かかないでみんなと同じにやるためよ。」
健司「ほんなのいちいち練習しなくたって隣のやつの見てりゃあ分かるだろう!!仮にやるとしても、前日にリハーサル一回でいいだろ?どいでわざわざこんねに二ヶ月も前からやんなくちゃいけねぇーんだ?」

   ステージの上から矢崎先生、真道先生

真道先生「こらっ、そこ何話しているの?卒業式の日にそうするつもりですか?」
矢崎先生「本番だと思って真面目にちゃんとやりなさいっ!!」
全員「はーいっ、」
麻衣「ほら、だで言ったじゃない。」

   麻衣、茶目子、野々子がステージの上に進み出る。健司、不貞腐れてふんっと鼻を鳴らす。


上川城南小学校・体育館
   3,4時間目。6年生を送る会が行われている。千里、涙を唇を噛んで堪えているが、一年生からのプレゼントとメッセージ、歌で号泣しだす。周り、千里を慰める。


   軈て、音楽部の演奏と共に6年生、退場。丁度チャイムがなる。

同・教室
   給食。

後藤「そうか、そうだったのか…だからお前、あんねに元気がなかったんだな。」
小平「6年生を送る会か…思いもつかなかったよ。」
後藤「俺も…」

   千里、まだ者繰り上げている。

マコ「千里君って泣き虫ね…6年生を送る会で泣いちゃうなんて。」
真亜子「一年生たちもビックリしてたじゃん。」
眞澄「でも…そこがチーちゃんの良いとこだって眞澄は思うよ。」

   うっとりとにっこり

眞澄「凄く優しいから涙脆いのよ。ね、チーちゃん…」
千里「ふ、ふぇ…ふ…ふぁーーーーっ!!!」

   しくしくと声をあげて机に突っ伏せて泣き出す。班のメンバー、笑いながら千里を慰めている。

千里「だって…だって、寂しいんだもん…もう
もう卒業なんて…悲しいよぉ…。」
後藤「そーかそーか、」
小平「よしよしよし…」


小口家・和室

千里「ただいま…」
珠子「あら、せんちゃんおかえり…先生から電話かかってきて聞いたわよ。せんちゃん、6年生を送る会で泣いちゃったんですって?」
千里「う…うんぁ…ー…」
珠子「バカね、まだ卒業式真でか月もあるのよ。今から泣いてちゃダメ。涙は卒業式の日に流そうね。」
 
   千里を一回強く抱き締めて離す。

珠子「さぁせんちゃん、手を洗っておいでなさい。おやつにしますよ。」
千里「はい…」
珠子「おやつ食べたら卒業式のお洋服見に行きましょうね…」

   千里、又泣きそうになる。

珠子「ごめんごめん。全くもぉ…せんちゃんは、卒業式って言葉を聞いただけで泣かないの。ね。」

   千里の肩を抱いて部屋を出る。

珠子「夕子おばさんと洲子おばさんは、今買い物行っていていないのよ。良かったわね、泣いていたら又叱られちゃうわよ。」
千里「うんっ…」

   また者繰り上げながら出ていく。


原小学校・教室
   
真道先生「はいっ、みんな静かにして。今日はこれから中学校の見学会に行きます。」

上川城南小学校・教室

金子先生「あなたたちはもうすぐ中学生になるわけですので、中学校がどの様な所かを…」 


[*前へ][次へ#]

第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!