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伝説

その昔、クァンデの頂上にある山小屋で、孔雀飼いをしている少年がいました。
山の名前の由来は、此処へ初めて来た古人達が、初めて聴く孔雀の奇妙な鳴き声を、
「クァンデ」と聴き捉え、そう名付けたからだ、と言われています。
未だこの頃は、孔雀という生き物が世に珍しく、羽の模様もありませんでした。
そんな美しくも無い鳥を、少年は十羽も飼っていました。

ある時、少年は、一番歳を取った孔雀が、赤い卵を産んだのを見つけました。
その赤い卵からは、間も無く真っ白な孔雀が生まれました。
一般的に、こういったものはアルビノと呼ばれます。
しかし、その孔雀の瞳は綺麗な青(ぶるー)をしていました。

少年はその真っ白な孔雀を、とても可愛がりました。
寝る時も、食事をする時も、必ず傍においておりました。

しかし、この幸せは、長くは続きませんでした。
白く珍しい孔雀がいると聞きつけた村の人々が、少年のいる小屋を襲ったのです。
少年と、白い孔雀以外、両親も孔雀も皆殺しにされてしまいました。
残った少年と孔雀は、見世物小屋に売り飛ばされてしまいました。

見世物小屋で少年と孔雀は、悲惨な生活を強いられました。
見る見るうちに痩せていって、
″使えなくなったと言われて捨てられてしまいました。

捨てられた少年は、眼が見えなくなっていました。
白い孔雀は、空腹で瀕死状態でした。

孔雀を可哀相に想った少年は、自分の目玉をくり抜いて、真っ白な孔雀に食べさせました。
真っ白な孔雀は鳴きながら、少年の目玉を啄ばみました。

番(つがい)の居ない真っ白な孔雀は、少年が死んでからも、沢山の卵を産みました。
その卵は血に濡れたように赤く、
その時から、
羽に目玉模様が現れるようになりました。


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