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「それは、それでグサッとくる子。」

ほんと、この頃のガキは大人げない。この間は体操服やら、頭上から水が降ったり、こんどは音楽の準備セットか。行方不明のかばんを探して右往左往。うん、廊下を歩く子たちはせせら笑うようにこっちを見ているので、なんとなく理解している。ちょっと、うっとおしいというか、なんというか。ちょーっと家族が多いからって何よ。人生経験多いって言ってちょうだい!。七人兄弟馬鹿にすんなよ!っていうか多いね。ため息ひとつついて次の階を下りて職員室に向かう。うん。なんか言ってるんで、勝手に帰らせてもらおう。担任は投げやりなので、丁度いい。

「先生、帰ります。」
「おう、また家の用事か」
「そうです、じゃ、」

通学かばんを片手に持ってピャーっと中学を出ていく。弟たちの面倒なんて、今日は見てやれないや。自分の中でごたごたする感情がどうどうめぐる。胃が痛い。きりきりするような、吐きそうな。何も言えない言い難い胸の中が巡る、怖くてさびしくて、形容詞しがたいそれが胸の中を冷たくしていくのを感じながら商店街の中を抜けていく。そこで、ばったり千葉さんに出会う、会いたくなかったような感じをしながら落ちこんだ。

「あ。」
「どうも、」
「今、帰り?」
「まぁ。ちょっと、都合で」
「元気無さそうだな」
「野暮用です」

俺にも言えない?なんて聞かれると、どうしようと迷う。迷う内容は言うか言わないかだ。もちろん。言うだけで楽になるならいいのだが、そのまま月野さんに行ってしまう恐れがある。どうしようか、本気で悩む。もしかするとしばらく悩んでることが無くなるのが一番の夢かもしれない。うん。みんなと違うけれども、これが夢なのかもしれない。視線が千葉さんを反らして右に逃げる、目線を合わせるのが怖くて仕方ない。

「もしかして、うさぎたちに聴かれるのが困るかい?」
「…あの人たちは、純粋だから。」

切り刻まれたノート、行方不明の教科書、燃えた靴。

「きっと、こんなことを言えば彼女たちはきっと困惑すると思う」
「どうして」
「おそらくはこの現状でさえも知らないの。」

悲鳴が聞こえる。また、誰かが狙われているのか。視線を来た道の方向に向ける。あっちからか、眉根を寄せて、睨みつける。千葉さんが何かあったのか?なんていうが、私は構わず走り出す。背後で制止の声が聞こえているが無視して、角をひとつ曲がる。誰もいない路地裏だと理解してからサンセットライダーを取り出して変身する。背後でそれで何か意図に気づいてくれたようで、後ろを走って来てくれる。構っている暇ないんですー!次の角を曲がって、目的の場所に来ると、やはり鏡の前に立つ男。あれ?この間と違うくないか?
…この間言っていた、ホークス・アイとか、っていうやつか?ズザザッザザーと、砂場に転がり込んで、いつでも狙えるように男に照準を合わす。

「お前、ホークス・アイか?」
「どうして、僕の名前を知っているんだい?僕、君みたいな子。趣味じゃないんだけどなぁ」
「あたしだって、お前なんか趣味じゃない!」
「それは、それでグサッとくる子。」
「ほっとけ!」
「仕方ないなぁ。僕のレムレスさん、来てくださいな」

影から何かうごめくように出てくるので、とりあえず影も撃っておく。よし、怯んで出てこなくなった!小さくガッツポーズして、毅然とした表情を浮かべる。ホークス・アイに狙いをつける。なんか、二人してやり取りを聴いていると、なんか、撃たれたくないから出てこないみたいな。よっしゃ!

「このまま帰りな。帰らないと撃つよ。」
「撃つって、物騒だ…!ってホントに撃つの!?」

とりあえず、撃っておく。黙らせるのには、丁度いいだろう。覚えていなさい!とか負け犬の遠吠えひとつして、消えていく。うん。面倒だな!顔覚えたし。何とかなるって!撃退させると、やっとこさタキシード男がやってきた。遅いっつうの。と小さく毒づく。面倒だな。

「大丈夫か?」
「終わった。」
「ならいいんだが、案外速かったな」
「撃って、追い返した、レムレスも、撃たれたくないから出てない」

ダイモーンだって妖魔だって、なんでもかんでもサンセットライダーでどうにかしてきているんだもの、対処の方法は一通り知っているわ。不変と戦いの戦士、戦うだけならいつもしているわ。戦い慣れてるもの、大丈夫。平然な顔をして、変身を解いた。よし、帰ってスーパー行かなきゃ、なんて思うと、視界がゆがんだ。あれ?なんか、変。ふわりと浮いた感じを感じて、視界はブラックアウト。もう、なんでだ?昨日のべしょべしょになった靴下のせいか?



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あきゅろす。
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