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最果て
05 契機


「ナルちゃん。今日は母さんたち遅くなるから」

「ええー?」

「久しぶりに食事でも行こうかって、父さんがね。…悪いけど、夕飯は自分たちで済ませてね」

玄関で靴を履きこむナルトに母は嬉々として微笑んだ。
嫌、なんて言えるはずもなく。


「……うん」

「さっくんにも言っておいてね」


サスケとは一緒に登校することはない。ナルトが起きる前に悠々と先に出ていってしまうからだ。


「わかったってば。母さんたちは楽しんで来て…」




サスケとふたりきり――


何年ぶりだろう。ふたりだけで食事をするのなんて。

嫌なような。嬉しいような。

気まずいかな。
またそっけなくされるかな。


でも、もしかしたらこれは契機かもしれない、とナルトは考えた。








「たまごに…生クリームに……あとは、たまねぎ」

学校帰りの制服のままで、ナルトは買い出しに来ていた。


自分たちで作らなければならない夕食。

サスケは生徒会の仕事があるので、ナルトより遅く帰宅する。


だから、と。


(サスケの好きな、オムライス…頑張って作るんだ)


ホワイトソースがかかった、半熟卵が美味しいオムライスを思い浮かべながら、にへらぁ、と微笑むナルト。


(ふたりで食べて、んで、美味しいって言ってくれて…少しでも話せるといいな)


料理は親に任せっきりで、作ったのは家庭科の授業でくらいしかないのだが。

それでも片手に拳を掲げ、「がんばるっ」と呟く少年。
通りすがったおばさんに「頑張って、坊や」と言われて、さっと顔を赤らめた。


「はずかしいってば……あ、」


野菜コーナーに隣接する、果物が並んだ棚。
中段には、赤く熟れた苺のパックが爛々と並んでいた。


「うわあ、うまそー」


そういえば、サスケは苺も好きだったよな…と思い出す。


(昔、よく一緒に練乳かけて食べてたっけ…)


比較的キレイなものを慎重に選んで、近くにあったコンデンスミルクもいっしょにかごへと入れる。


期待に胸を膨らませてレジへと向かっていった。



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あきゅろす。
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