00-03 もう察してもらえるだろうけれど、ぼくのこと中井英輔と、クラスメートの仲井龍之介は現在進行形で中身が入れ替わっている。 SFチックなお話だけれどこれはマジな話。 た だ し 。 よく物語で見かける精神チェンジじゃない。 ぼくが仲井で中井が中井ってわけじゃないんだ(嗚呼、この説明だけでも混乱しそう)。 何が入れ替わってしまったかというと、一言でいえば気持ち。 ぼくは女の子好きという気持ちを、仲井はお茶好きという気持ちを、それぞれ好きな対象物が入れ替わってしまったのだ! まじで、でじま、まじでじまな状態さ!(このネタ。分かる人いるかい?) 嘘のようで本当の話。 ぼく達はお互いの好きな物が入れ替わってしまっている。 だからさっきぼくは水谷の合コン話を断り、茶に対してお説教をしてしまうというハプニングを起こしてしまった。 仲井だってコンビニでグラビア雑誌を買ってしまったと言っていただろ? まさしくぼく達の好きな物に対する気持ちがチェンジされているんだ。 「あーあ、お茶が飲みたい」 「はぁ。女と戯れたい」 口にしてしまい、ぼく達は硬直。 「ジュースのが好きなのに!」「不遜過ぎるおれ!」悩ましい状況につい頭を抱えてしまう。 次いで、なんでこんなことになってしまったのか二人で話し合うことにした。 何故、気持ちを抱くようになったのか。 三日前の朝まではヘーキだったのに。昼から少しずつおかしくなってきたんだよな。 三日前、三日前、みっかまえ。 ぼくは急ピッチに三日前の出来事を思い出していた。 さっきも言ったけれど、ぼくは仲井のことをすこぶる苦手としている。 理由は簡単、ヤツが無愛想の堅物だから。愛想の「あ」もない奴で、基本的に誰に対しても素っ気無い。 クラスで浮いた存在、とまでは言わないけれど、仲井と好き好んで接するクラスメートも少ない。 ぼくとしても仲井のようなタイプはヒジョーに苦手なもんだから(気遣ったり相手の顔色を窺うのが億劫だ!)、相手の事を殆ど喋ったことのない分類に入れていた。 なによりも気が合わないだろうな、と悟ってしまったんだ。 ほら、仲井って生真面目そうじゃん? ぼくみたいな女の子大好き! 女子と合コンしたい! って男を好くは思わないと思うんだ。 実際、人のことを不遜だの無節操だの言ってくれたから、苦手(というか嫌い?)な類いに入れられていると思われる。 つまり、ぼくと仲井の関係はお互いがお互いに距離を置いておきましょう。 クラスメートとして用事がある場合、フレンドリーに声を掛けて用事ごとをさっさと済ませましょうな関係だった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |