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03-09


 

「1学年でも噂立ってるんだぞっ、アンタの陰湿な噂! 聞く度にいっらぁ〜っとしなきゃなんねぇしっ、アンタはアンタでっ、なんだこの服装! 折角着崩してやったっつーのに、また真面目に戻しやがって! オレに喧嘩売ってるのか、なあ?!
っ…オレは言ったよなっ、今度違和感ありありの真面目ちゃんにしたら右耳にピアスあけるって! 学外じゃ着崩すとも言ってたくせにっ、結局元に戻っちまってるじゃんかよー!」


「い、言われ…たような…、言ったよー…なー…」

「あ゛?」

「ご…、ごめんなさい…。言われましたし…、言いましたです」
  
 ちょ、止まってくれモト。
 声が大きいからっ。此処は通路の一角っ。
 ああそこの女子大生さん達っ、なんでもないのでっ、変な目で俺等を見ないで下さい。喧嘩じゃないんですよ、これ。あ、いえ、変な目で見えてもいいんですけど、見るならモトだけにして下さい。俺は被害者ですんで! モトはモトで止まらないし。

 盛大な舌打ちを鳴らすモトは、ギッと怖い顔で俺を睨んでくる。
 
 目…、目が据わってるんだけど。
  
 
「くそっ、毎度思ってるけどさ、なーんでヨウさんの舎弟らしくしねぇんだよ!」

 
 らしくしたら、アンタもちょっとはワルな面でプラスになるっつーのにっ、わざわざマイナスなことばっかしやがってっ…ああ腹が立つ! 悩んじまったら変に一線は引くわ、悪く言われてもダサいままを貫くわっ、一々世話を焼かすわっ。
 アンタっ、マジムカつく、マジ信じらんねぇ! 人をこんなにもイッライライラさせやがってっ、このダメダメダメダメダメ舎弟! アンタ、オレを苛立たせる天才だな! ガチ、その真面目腐れた根性をどうにかしろっつーのっ!
 
 てか、もうオレがどーにかする! そっちの方が手っ取り早い!
 ……なに、遠慮する? るっさいっ! アンタがどう言おうとオレの知ったことか! オレはオレのしたいようにするっつーの!

 オレに何かされたくなかったら、今すぐ此処で誓え。馬鹿にした奴等を見返してやるって。
 陰湿陰険卑怯な手がおてものだって陰口を叩いてる奴等を見返すってオレに約束しろ。大概でウンザリしてるんだよ、アンタの噂。アンタの偽者が一年をカツアゲしたせいで、ヨウさん以上に悪評だぞ。知ってるのか? なあ?
 
 そりゃ聞き流すのも手だろうさ、噂を気にしないのも手だろうし、言いたい奴には言わせておくのも手だろうけど。
 でも、流す前にそれなりのことはしてもいいだろ! 気分悪いんだよ、仲の良い奴を誰彼に悪く言われるのって。なんでオレがこんなにも悔しい思いをしないといけないんだよ! アンタ、なんも分かってないだろ!
 

「あんま手を焼かせるなっつーのっ。アンタがそうやってダメ男だから、オレが余計な世話焼かなきゃいけなくなるだろっ」


 完全に思考停止している俺と、目を点々にしている傍観者二名、ゼェゼェと息をついている興奮状態の説教主。
 四者四様の反応の中、モトは胸倉を握り締めていた手が弱めて、おもむろにボタンに指が掛けてきた。

「ゲッ、お、お前ナニしてくれてっ、」

「アンタのために制服崩してやってんだろぉおお! 動くなっつーの! …っ、せめてきっちり締めてるネクタイを取ってっ、シャツのボタンっ…、こっからだとやっり難い! ケイ、こっち来い!」
  
 
「い、いいって。じ、自分でや「らないだろぉおお! そうやっていつも受け流すって分かってるんだからなぁあああ!」
 

 ははっ、モトさん…素晴らしいです。俺の性格をよく熟知しているようですね。花丸満点。
 



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あきゅろす。
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