01-06
と、まあまあ、そんなこんなで光喜自身、ヨウと遊びたいまでの仲じゃないけど、まあ話せる分類に入ったらしい。積極的に話したいまでは思わないらしいけどさ。
よくあるよな、一緒に行動するタイプじゃないけど、顔を合わせたら話そうかなー? って奴。自分から話し掛けることは少ないけど(寧ろ皆無だけど)、話し掛けられたら話題にはノリ良く乗るってタイプ。光喜にとってヨウはまさにそれらしい。
ちなみにジミニャーノ仲間の透は肝が据わってるから、たとえ相手が不良でも話すときは自分から話し掛けるタイプ。
いやぁ、忘れられないぜ。
あいつがクラスメートになったヨウに吹っ掛けた内容…、あいつ、ヨウの顔を見つめて、見つめて、みつめて、開口一番に「惚れました」だぜ?
お前はヨウ信者のモトか? それとも今は俺の弟分をしてくれているキヨタか?
あの二人を思い出させるような台詞を吐いたもんだから皆、目が点。ナニが起こったし、みたいな顔をヨウも、近くにいた俺を含むジミニャーノ二人もしたんだけど、お構いなしに透は興奮気味に語ったよ。
「実は前々から思っていたんだっ。僕、荒川くんを初めて見た時から…、『ナニこの人。超いい』って。
これは天命だと思うんだ。うん、天命、そうだよ天命なんだ。きっと圭太くんが荒川くんの舎弟になったのも、僕と荒川くんを会わせるキッカケを作るためなんだ。そっか、神様って本当にいるんだね。ありがとう、圭太くん。僕、感謝してる」
「(ということは俺、あらん方向に透をやっちまった責任が…? 俺? 俺に責任あるのか?)」
うんぬんと不条理な責任を感じる俺に、
「(おいおいおい。まさか告白じゃねえだろうな、これ。……分かった、きっとモトと同じ類なんだな。弟分にしろっつってるんだな)」
けど弟分が増えたらモト、なんっつーかな…と遠目を作るヨウ、
「(田山のせいで小崎が…、それでも俺は友達だからな。小崎!)」
心中でいつまでもオトモダチなんだぜと誓っている光喜、
「(……。小崎のあの目、多分アレだな)」
やれやれと溜息をついて呆れている利二。
各々な反応を起こしている中、あいつは次の瞬間、自分の持っていたスケッチブックをあいつに見せつけて言った。
「ということで荒川くん! 僕のモデルになって下さい!」
………。
フッ、さすがは美術部。あの時の安堵感…じゃね、あの時の唖然といったら、もう。
とにもかくにも透を変な道に追いやったわけじゃなくて良かった。すっこぶる良かった。安心したよ。結局、「俺…ジッとするの苦手なんだけど」ヨウがやんわり断っちまってその場は終わった。「僕は諦めない」と透が意気込んでいたのは余談としておく。
なんだかんだでジミニャーノ達はヨウと、それなりに会話できる仲になっているんだ。
俺伝いっていうのが一番の理由だよな。
俺がもし、ジミニャーノ伝いでヨウと関わるようになったら、やっぱそれはそれなりに会話できる程度になってたと思う。1年の頃、あんなにヨウに対して嘆いていたのは、俺の周囲に誰もヨウを知る奴がいなかったから…なんだよな。
ま、不良はまだ怖いけどさ! 不良って奴等はどんなに関わっても一生慣れねぇよ! 一生地味野郎で貫いてやるぜ!
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