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012


 
 外に出たアルスは後ろを振り返る。
 ベルトルとジランダはまだ追って来る。結構しつこい。アルスはついつい本音が出た。

「だあああっ、それにしてもシツケー! あいつ根に持ちやすいタイプだろ!」
『アルス! そろそろ逃げるの止そうぜ! 俺ちゃま、ヤレる!』
「ダメだ!」
 
 校舎の外を走り回っていることに飽きたラージャが戦おうと言ってくる。アルスはそれを許さなかった。
 何でだよ、とラージャが文句を垂れる。

『あいつから逃げてばっかりもいかないだろ? 俺ちゃま、パンツ萌えを糧にヤレるからよぉ!』
「パンツカンケーねぇ!」
『アルス!』
「戦うことになれば、ヤるのはお前なんだぞ! お前は【マナ】ナシで戦うんだぞ! しかも、お前は俺っつーお荷物まであるんだ!」
 
 ラージャの不利は確定ではないか。
 怪我することは避けたい。率直な意見をラージャにぶつければ、ラージャが後ろを一瞥する。ベルトル達と自分達の距離は確実に縮まっている。このまま逃げていても、いずれは追いつかれるだろう。

『アルス、普通の魔法は扱えるだろ?』
「普通の? ああ、初級攻撃魔法ぐらいなら。しかも護身術程度の魔法」
『十分だぜ! 【マナ】なんか使えなくても、それで俺ちゃまに力貸せるんだからな!』
「はあ?」
 
 とにかく止まれとラージャがいうモノだから、アルスは考えた挙句足を止めた。
 やっと逃げることをヤメたのかと、ベルトルが嫌味ったらしく鼻を鳴らしてきた。
 そして素早くジランダに向かって呪文を唱え始める。


『アルス! 来るぞ! 何でもイイから初級攻撃魔法! 俺ちゃまに向かってやれ!』

「何でもが1番困るッ……『ボルトサンダー』!」

 
 呪文を唱え、アルスがラージャに向かって初級電撃魔法を放つ。
 ラージャは素早くアルスが放った電撃を口を開けて、自分の体内に受け止める。


『ビッリビリきっく〜! 今の俺ちゃまに触るとイヤ〜ン感電するぜ!んでもって、喰らえ!』


 大きな口を開けて、ラージャがジランダの放つ攻撃に向かって電撃を吐いた。電撃と一緒に自分の魔力を交えた為、電撃に炎がプラスされた。威力はアルスが放った電撃の倍となる。
 結果、お互いの攻撃が相殺という形になる。
 ベルトルは口笛を吹いて、ラージャの攻撃に驚いてみせる。





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