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『俺ちゃまがアルスを選んだからだ』


   

「うっぜー!」
  
  
 街中を歩いていたアルスは「うぜー!」と叫んでいた。
 溜まりに溜まった怒りを吐き出すアルスに、フォルックは街中なんだからと指摘するがアルスは腹の虫がおさまらない。


 ムカムカする怒りに足を止めて地団太を踏む始末。
 
 
「あいつとッ、あいつとクラスメイトだぞ! 明日から! 誰が三流だ!」
「ウーン、ベルトルくんって」
「“くん”要らねぇ! あんな奴に君付けなんて、必要ねぇ! うぜぇ、うぜぇー!」
『落ち着いてだぎゃー』
「これが落ち着けるかッ、オリアンの方が300倍マシだ! ったく……ラージャ、お前、大丈夫か?」
『なーんてことないぜ! 俺ちゃま、さいきょフォー!』
「ホントか? ってお前、火傷してるじゃねえか!」


 翼のところをモロに火傷して見るも痛々しい。


 ラージャはチッチッチと指を振り、これくらい平気だと胸を張る。
 ナーガが溜息をついて翼をそっと触る。途端にラージャの表情が強張った。


 やっぱり痩せ我慢しているのだ。


 アルスは顔を渋めると、フォルックとナーガに先に帰ってもらうように言う。
 自分とラージャは薬局に行って薬を買うと告げた。
 フォルックは頷いてナーガと家路を歩き始めた。ラージャは「平気だー!」と叫ぶが、アルスは聞く耳を持たない。ラージャを呼んで歩き出す。ラージャは文句を言いながら、アルスの後を追う。
 
『なあー、俺ちゃまダイジョーブなんだぞ? 薬より帰ってメシ食いたい! パンツ見たい!』
「薬買ったら帰るって。でもパンツはヤメろ。取り敢えず、肩に乗れよ。飛ぶな。傷に響くだろ」
『だからー』
「ラージャ」
『……分かったぜ。乗ります、乗ればイイんだろ?』
 

 大人しくアルスの肩に乗る。

 よし、と頷いてアルスが前を向いて歩く。ラージャが首を傾げた。

 
『どーしたんだ? アルス。2週間、お前と一緒にいるけど、今のお前、1番変な顔だぜ?』
「……お前さ、どーしてあの時、助けてくれたんだ?」
『はあ? そりゃ、お前が主人だからに決まってるだろ』

 何言ってるんだとばかりにラージャが首を傾げる。
 アルスは何だか申し訳ない気持ちになった。


「けどよ、俺、本気でドラゴン使いになりたいって思ってねぇんだぜ? なのに、こう、なんか、なんだ」

『知ってるぜ。お前がドラゴン使いになんかなりたくないこと。分かってる』


 なのにラージャは助けてくれたというのだろうか。

 驚愕な顔を作るアルスに、ラージャは仕方がなさそうに笑った。

 



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あきゅろす。
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