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 しっとりと濡れている額を手の甲で拭い、アルスは元気だと強がってみせる。
 憮然とした態度を、けれども心配の色を見せるラージャはちろちろっと赤い舌を出し、アルスを見つめる。
 
 
『マジ大丈夫なのかよ、顔色悪いぜ?』

「こーんなのすぐ治るって」
 
「じゃあ、暫く座っておくように。少しでも不調があったら言うんだよ」


 それから…、ギュナッシュは振り返ってベルトルとジランダペアに目を向けた。

 
 「スランプかな?」ギュナッシュの問い掛けに浮かない顔を作っているジランダ。鼻を鳴らすベルトル。誰よりも【マカ】の威力が弱かったペアだった。水晶柱を合格ラインの赤に変えることもできず、最低レベルの黄の色に変色させた。まるで黄が彼等を見下しているように、派手な色を放っている。

 ベルトルとジランダはクラスの中で一番できの良いペア…、普段はどのペアよりも【マカ】を上手く使いこなせるペアなのだが…、こんなにも不調だとは。

 しかしギュナッシュは口先でスランプと言っていても、原因が見えていた。
 溜息をついているグレイのうろこを持つドラゴンに目尻を下げる。
 
 
 そして最後に、ギュナッシュはフォルックとナーガペアに目を向けた。

 
「君達が一番バランスがいいよ。フォルックくんも上手くマカの配分ができているし、ナーガも上手くドラ・マナを混和させられている。あとは実戦で有効に活用できればパーフェクトだね」

「だって、良かったね。ナーガ。チキンハートでもやればできるよ、僕等」

『だぎゃー。バランス型で良かったぎゃー』
 
 
 フォルックは肩に乗っているホワイトドラゴンの頭を撫でる。
 微笑ましい光景にうん、ギュナッシュは頷いてもう一度してみようかと皆に言う。アルスとラージャペアは休むよう付け足して。

 まだ上手く立てぬアルスに手を貸しながら、ギュナッシュはフォルックとベルトルに構えを取るように指示。
 ふらっとよろめくアルスはどうにか足を動かし、ラージャと共に壁側に待機。「よっこらしょ」腰を下ろすアルスは膝にラージャを乗せて、見学モードに入った。

「あーあーあ。折角マカを使えるようになったのに、まさか三回が限度なんてなぁ。ありえねぇよな、ラージャ」

 頭の後ろで腕を組み、アルスはパートナードラゴンに愚痴る。

『そりゃアルスの魔法技術が低いからだろ?』

 ラージャは主人に憮然と言う。
 するとアルス、むっとしながらもフーンと鼻を鳴らして唇を尖らす。下手に反論はできなかった。
 

「低いじゃなくて不器用って言えよなー」

『ま、努力すればすぐ上がるだろ? マカだって使えるようになったし。1ヶ月待ったけどな!』

「んじゃまた1ヶ月は待たせるぜ!」

『長い! アルス、半月にしろ!』

「俺の不器用を舐めるなってラージャ!」

『そりゃ悪かった! アルスは不器用だもんな!』





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あきゅろす。
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