Parallel
2
「……っ、」
――ドサリ、
難なくキャッチするが、少年は、衝撃を覚悟し身を堅くし目を瞑っていた。
「…………?」
「……残念。」
恐る恐る目を開けた少年に、とびきり質の悪い笑顔を向ける。
「そう簡単に、逃がしてなんかやらねぇよ。」
「!」
また逃亡に失敗した、と漸く理解した少年は、見る見る顔を赤く染める。
年相応の悔しそうな顔に、一発デコピンを食らわせた。
キャッチした体制から、肩に担ぎ上げる様に抱え直し、そのまま歩き出すと、少年は涙目で額を押さえつつも、焦ったような声を出した。
「あのっ……やっぱり、これ以上お世話になる訳にはっ……」
「腹減ったなー。今日はこのまま外にメシ食いにいくか。」
必死な少年の言葉を、聞こえないふりで流す。
あの日、拾って帰った少年は、熱が下がると同時に部屋を出て行くと言い出した。
今は持ち合わせが無いが、お世話になった分の食費やその他は、必ず後で返しに来ます、と頭を下げて。
今時珍しく、謙虚で礼儀正しいとは思う……が、正直面白くなかった。
.
[*前へ][次へ#]
[戻る]
無料HPエムペ!