Others
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それからオレ達は、レシーブの練習を緩くしながら、他愛もない話をした。
最初の頃の刺々しい態度は、好奇心で話し掛けてくる手合いへの牽制だったらしく、早乙女は割りと話しやすい奴だった。
早乙女の独特な話し方は、どうやら時代劇好きなお祖父さんから移ったものらしい。だからそんな二次元クオリティなんだな。
あと、姿勢が良いのは、剣道習っているからで、それもお祖父さんの勧めのようです。
過保護だった両親を押し切ってくれたお祖父さんのお陰で、今は健康だとか。
ついでに名前も祖父命名。
上にお兄さんが8人いる訳じゃなく、源九郎義経からとったそうだ。
牛若か…似合うな。
そこまで聞いただけでもお分かりいただけるかと思うが、早乙女は大層なおじいちゃんっこだ。
「フランス人で時代劇好きで、愛妻家で……お前のじいちゃんキャラ濃いな。いつか会ってみてぇ」
「そうか」
相槌をうった早乙女は、僅かに口角を上げた。お祖父さんの話をする早乙女は、無表情が少し緩む。
それが何だか微笑ましくて、オレもつられた様に顔が緩んだ。
「っ…!」
「うおっ!」
何故かその瞬間、早乙女の手元が狂い、ボールは明後日の方向へ飛んで行った。
慌てて手を伸ばすが、届く筈もないような大ホームラン。バレーボールって当たり所が悪いと、凄い飛距離を弾き出すよな……。
打ち上げられたボールは運悪く、端に避けてあった審判台の上にスポッと乗っかってしまった。
「わ、悪い。取ってくる」
「オレ行くか?」
「大丈夫だ」
早乙女は打ち上げた事が恥ずかしかったかのか、ほのかに頬を染めつつ、足早にボールを取りに行った。
審判台は結構高いので、上らないと取れなそうだ。
早乙女は身長低めだから尚更だな。
「!」
そう考えながら見守っていると、早乙女は軽々とジャンプして、アッサリとボールを取ってしまった。
……随分ジャンプ力あるな。
「……おい、蜜」
「っ?」
感心しているオレの肩を、誰かが背後から叩く。
突然の事にビクリと体が跳ねる。
振り返ると其処にいたのは、精悍な美貌を不機嫌そうに歪めた八束だった。
「遅かったな、八束」
「…………」
「何かあったのか?」
「!!」
不機嫌だった八束は、オレがそう問うと顔を赤く染めた。
何故だ解せぬ。
「え、人が心配してたのに、何その反応。顔赤くする様な出来事があったのかよ。もげろリア充」
「ねぇよ!!つか誰のせいで赤くなって……っ、」
そこまで言って八束は、しまった、と言いたげに口を押さえる。意味分かんねぇ。
誰のせいって、…まさかオレのせいなの?何で?
「オレ何かしたか?」
「……してねぇ」
「でも今…」
「してねぇっつってんだろうが!!天然タラシは黙れ!!」
誰か助けて下さい。
うちの八束君が情緒不安定です。ついでに何言っているのか意味分からないです。
この中にお医者様か翻訳家の方はいらっしゃいませんか?
つか、オレの読解力と理解力が無いだけ??
八束の親衛隊の隊員が、生温い目で此方を見てくるのが辛いんだけど……。
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