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「いーよー。」


オレは、そう答え、執務机に手を着いて伸び上がった。


「…っ?」


今度は、会長の顔では無く、髪に触れる。


長めの黒髪は、オレの猫っ毛と違い、適度に張りがあり、心地良い。


サラリ、と撫でて、驚きに目を瞠る会長と目を合わせ、笑いかけた。


「…会長えらいから、オレからのご褒美です。」

「…………っ。」


会長の切れ長な瞳が、驚きに見開かれた。



あ、ご褒美って言い方は、何か偉そう??
オレ、何も出来てないしなぁー。


ご褒美じゃなくて、感謝の品?差し入れ??


オレがそう頭を捻っていると、会長はまだ驚いた顔のままで。


オレはもう一度、よしよし、と彼の髪を撫でた。


「…オレ、鈍いし、忘れっぽいし、噂とかも疎いけどー、会長が尊敬されてるの、ちゃーんと知ってるよー?」


傲慢不遜、我が道を往くオレ様として多くの人の畏怖と憧憬を集める彼が、


意外と勤勉な性質な事は、実は結構広く知られている。


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