Others 9 「いーよー。」 オレは、そう答え、執務机に手を着いて伸び上がった。 「…っ?」 今度は、会長の顔では無く、髪に触れる。 長めの黒髪は、オレの猫っ毛と違い、適度に張りがあり、心地良い。 サラリ、と撫でて、驚きに目を瞠る会長と目を合わせ、笑いかけた。 「…会長えらいから、オレからのご褒美です。」 「…………っ。」 会長の切れ長な瞳が、驚きに見開かれた。 あ、ご褒美って言い方は、何か偉そう?? オレ、何も出来てないしなぁー。 ご褒美じゃなくて、感謝の品?差し入れ?? オレがそう頭を捻っていると、会長はまだ驚いた顔のままで。 オレはもう一度、よしよし、と彼の髪を撫でた。 「…オレ、鈍いし、忘れっぽいし、噂とかも疎いけどー、会長が尊敬されてるの、ちゃーんと知ってるよー?」 傲慢不遜、我が道を往くオレ様として多くの人の畏怖と憧憬を集める彼が、 意外と勤勉な性質な事は、実は結構広く知られている。 . [*前へ][次へ#] [戻る] |