Others
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※会長親衛隊長 桜井視点。
ソワソワして
イライラして
好きな子が心配で、仕事が手につかないとか、
数ヶ月前の彼には、有り得ない話だ。
傲慢にさえ見える程に自信に満ちあふれ、全てを完璧にこなす会長に私は憧れ、少しでも力になりたいと思い、親衛隊を立ち上げた。
けれど、そこに恋愛感情は微塵も無いので、彼の変化は素直に喜ばしいと思う。
そして、彼の想い人が、あの少年であった事も。
「…分かりますよ。だって、鈴木君ですよ?」
「……………。」
「貴方の為に、親衛隊に真っ向から立ち向かい、許可をもぎ取った強者です。…あんな駄犬如きに負ける筈ないでしょう。」
サラリと言ってのければ、彼は切れ長な目を僅かに瞠り、口元を緩め、苦笑を浮かべた。
「…オレの親衛隊長であるお前が言うのかよ。」
もっともです。
許可をしたのは、確かに私。
けれど、それに私情を挟んだつもりは無い。
真っ直ぐな言葉と、瞳。
強い意志で一歩も譲らない彼に、私は柄にも無く湧き立った。
私の王は、彼、橘総一郎。
それは覆らない。
けれど隣に並び立つ彼のパートナーが、鈴木次郎である事に、私は喜びを覚えた。
「…貴方の想い人は、とても男気のある方ですね。」
笑む私に、会長は、見たこともない穏やかな顔で微笑った。
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