Others 5 ※会長親衛隊長 桜井視点。 「………………。」 生徒会室は今、沈黙に包まれていた。 普段は、話し声が無い時も、カリカリとペンを走らせる音や、書類を捲る音。 それからキーボードを叩く音などが聞こえるのだけれど、 本日は、無音。 「…………。」 意外に真面目な、生徒会のトップたる彼は、皮張りの椅子に身を沈め、腕組みしたまま動かない。 厳しい表情で、ペンを握る事なく、時折苛立たしげに時計を睨んでいる。 ――コト、 「……………。」 目の前に紅茶のカップを静かに置くと、会長は、視線を此方へ向けた。 その無言の圧力に負ける事無く、私は微笑を浮かべる。 「…そんなに心配なさらなくても、大丈夫ですよ。鈴木君なら。」 「……お前にジロの何が分かる。」 知った風な口を聞くな。 そうピシャリと怒られては、苦笑を禁じ得ない。 なんというか、微笑ましい。 こんな年相応な会長は、初めて見るんじゃなかろうか。 . [*前へ][次へ#] [戻る] |