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「…ここにいた。」


息をきらした黒さんは、そう呟くと、ツカツカとオレに近寄って来た。


「…あ、」


何て言っていいか分からず、席を立って、戸惑うように黒さんを見上げるオレ。


「………。」


黒さんも、決まり悪そうに、言葉を探しあぐねている。


…喧嘩なんてしたこと無かったし。
どーしたらいーか、分かんない。


黒さんは、暫くした後、オレの手を掴んだ。


「……帰るぞ。」


らしくも無く、不器用な言葉。

でもオレは嬉しくて、こく、と頷いた。


「…はい。」


店を出る時、ごめんなさいとありがとうを込めて、ペコリとお辞儀すると、二人に、微笑ましいものを見る目で笑われた。


……お騒がせしました。




黒さんは、バイクに乗らずに、走って探してくれてたらしく、二人で歩いて帰る事になった。


人通りの無い静かな道を、黙って並んで歩く。


でも、繋いだまんまの手が、暖かくて、気まずいとは思わなかった。





「……ごめんな。」



長い沈黙を破るように、ポツリと黒さんは、呟いた。


飾り気の無い言葉に、オレも素直になれた。



「…オレも、ごめんなさい。」


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あきゅろす。
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