Sub 7 「…ここにいた。」 息をきらした黒さんは、そう呟くと、ツカツカとオレに近寄って来た。 「…あ、」 何て言っていいか分からず、席を立って、戸惑うように黒さんを見上げるオレ。 「………。」 黒さんも、決まり悪そうに、言葉を探しあぐねている。 …喧嘩なんてしたこと無かったし。 どーしたらいーか、分かんない。 黒さんは、暫くした後、オレの手を掴んだ。 「……帰るぞ。」 らしくも無く、不器用な言葉。 でもオレは嬉しくて、こく、と頷いた。 「…はい。」 店を出る時、ごめんなさいとありがとうを込めて、ペコリとお辞儀すると、二人に、微笑ましいものを見る目で笑われた。 ……お騒がせしました。 黒さんは、バイクに乗らずに、走って探してくれてたらしく、二人で歩いて帰る事になった。 人通りの無い静かな道を、黙って並んで歩く。 でも、繋いだまんまの手が、暖かくて、気まずいとは思わなかった。 「……ごめんな。」 長い沈黙を破るように、ポツリと黒さんは、呟いた。 飾り気の無い言葉に、オレも素直になれた。 「…オレも、ごめんなさい。」 . [*前へ][次へ#] [戻る] |