Sub 9 「!」 オレは、その声が聞こえた瞬間、窓枠に手を掛け、躊躇い無く窓から身を躍らせる。 「危ないっ!」 「…!」 風間さんの声と、御門が息を飲む音が聞こえた。 でもオレは、ただ真っ直ぐに手を伸ばす。 怖い、なんて思わない。 この人ならオレは、どんなギリギリの状態だって、信じられる。 だって、ほら――。 間髪入れずに、オレの腰を攫うように抱き締める腕。 伸ばした腕を、オレは彼の首に絡めるようにしがみ付く。 ギュイ、と派手な音をたてて、オレを抱えた人は、バイクを急停止させた。 ハンドルを離し、両手でオレを抱き締めてくれるのは―――、 「黒さんっ!」 「待たせたな。…いい子にしてたか?凛。」 ほら、 この人はいつだって、オレの信頼に全力で応えてくれる。 だからオレは、いつだって安心して、この人になら全てを曝け出せるんだ。 . [*前へ][次へ#] [戻る] |