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バンッ


車を停止させ、御門が降りてきた。


オレらから5メートル位離れた場所で、足を止める。


「不粋だな。」


「どっちがだ。…返してもらうぜ。」


「……。」


御門を睨み付けたまま、黒さんは、静かに口を開いた。



「どんなにお前が執着しても、コイツはやらねぇ。」


黒さんは、自分の肩口にオレの額をくっ付けるように、オレを抱き寄せた。



「…………。」


御門は暫く無言でオレ達を見ていたが、やがて『興が削がれた』と言わんばかりの顔で、踵を返した。



「車を出せ。」


「…はっ。」


車に乗り込んだ御門は、窓を開け、いつものように、艶然と嗤った。



「またな。…次は逃がさねぇから、覚悟しておけ。」


「次はねぇよ。」



憮然と呟く黒さんに、オレは漸く安心し、笑った。




ブロロロ…と排気音をたてて去っていく車を見送り、黒さんは『帰るか』と、オレにメットを被せた。


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