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8


「…何だ?ほだされたか?」
「っ!!」


オレが、居たたまれない気持ちで俯くと、いつの間にか目を開けた御門と目が合った。


嘲うように、藍色の瞳が、オレを捉える。




―――同情なんて安いモンは、いらねぇ。



そう言わんばかりの目に、オレは我に返る。



体を起こした御門は、ミラー越しに風間さんを一瞥した。


「…下らねぇお喋りはいい。とっとと車を別宅に廻せ。」
「!?」


別宅!?家が何個あるんだ……じゃねぇ!!


「ちょっと待った!!オレを降ろせ!!」


焦って叫ぶオレに、御門は艶然と笑む。


「…降ろすワケねぇだろ?やっと捕まえた獲物を誰が逃がすか。……膝枕は、一晩掛けてお前を溶かしてやった後に、また、な。」
「…!!」


何する気だ!?
不穏な笑みに、オレは思わず体を引いた。

具体的には分からんが、物凄い身の危険を感じる。


慌てて扉にしがみ付くが、ロックされてて開かない。


窓は開くが、かなりのスピードで走っている車から飛び降りたら、間違いなく軽傷では済まない。



風に髪をなびかせながら、思い詰めた顔のオレを、御門は面白そうに見つめる。




「…無駄だ。諦めるんだな。」





「…それはどうかな。」


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